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とある銀河の物語
001 最終試験
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とにわずかな時間しか、一緒に入れないのだ。一秒一秒が貴重すぎる。ちゃんと集中していればプッシュアップなんぞに時間をとられかなったのに・・・。
「あら?」
・・・「あら?」???「へぇ」とか「ふーん」とかでなく??? 疑問符???
「マールのこれ、この偵察任務だけど。」
「ああ、はなたれ小僧にはちょうどいい任務さ。」
なにが!! たった八日間で千五百キロもの距離をこの二本の足だけで移動して、そのあとでやっと偵察任務だ。実質の移動は七日以内にしないといけないだろうし、そうなると一日十四時間走るとして、だいたい時速十五キロで走り続けないといけない。なにが、“ちょうどいい任務”なもんか・・・確かに簡単すぎる任務だったら最終試験にならないけど。
「八日じゃちょっとね・・・」
「そうか?じゃあ、期間を変えるかね。」
おいおい、そりゃ確かに難しいけど、やれるさ。やって見せる!!
「教官殿。自分なら大丈夫です。やって見せます。」
おまかせください! 俺に出来ないことはあなたを落胆させることくらいです!!
「そう、マール。あなたもそう思うのね。」
「イェス、マァム!」おお、すばらしきかな! 同じ思いを共有し・・・
「やっぱり八日じゃ簡単すぎるわ。六日が適当ね。」
俺の個人史の、輝ける一ページが今・・・え?
「本当は五日でもいいんだけど、ウォルフの顔も立てないとね。」
「イェス、マァム。五日でもいいくらいです。ありがとうございます。」
おいおい、俺はいったい、なにを言ってるんだ? わかってるよ、ラン。そんな顔するなって。今訂正するから。
口を開こうと思った矢先、ぽんと肩をたたかれそのきっかけを失ってしまった。“教官”だ。
「とにかくはなたれ小僧は背伸びしがちだが、ま、ここは六日ということにしとけよ。簡単すぎる任務で非常に申し訳ないがな、マール君。」
「イェス、サー。簡単すぎる任務ですが、仕方がありません、サー。六日ということにしておきます。」
誰か、俺のこの口を止めてくれ・・・。






程なく俺たちは船に乗り込んだ。全長百五十メートルの万能型宇宙船“キャッツ”だ。
五人の“キャッツ”乗組員以外に人員も三十人まで収容でき、二、三回のミッションなら無補給でこなすことが出来る。もちろん“跳ぶ”事も出来るし、伸縮性の補助翼と高性能、高効率の垂直離着陸エンジンにより大気圏内でのミッションも可能だ。機動力重視の、強襲揚陸艇に近い機体。多少のサイズの差とか、性能の差こそあれ、この手の機体が俺たちの主力だ。単独のミッションはもちろん、艦対戦においても大いに威力を発揮する。高速戦闘機にこそ及ばないが、高い機動性と戦闘機よりはるかに勝る火力で敵艦隊を翻弄してきた。もちろん今のところは、だが。

ハッチが閉まるなり大爆笑が渦巻いた。
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