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とある銀河の物語
001 最終試験
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当にいいやつなんだ。今だってこうやって俺の心配をしてくれている。今日から自分の“最終試験”が始まるっていうのに・・・えっ?
「おいっ! お前こんなところでなにやってんだよ!! 最終試験が始まっちまうだろうが。」
思わず大声を出してしまった。ランの奴、わざとらしそうに耳をふさいでやがる。
「・・・そうだよ、最終試験が始まっちまうから来たんだ。早く着替えろよ。」
「あのな、お前は初めてだから知らんだろうが、最終試験をやってる最中は訓練はないんだよ。R&Rさ。」
「だから訓練はないが、最終試験はある。そうだろ?」
「あたりまえだろうが。」
「だから、とっとと着替えろよ。」
「あのなぁ・・・」
ランの奴、おかしくなったんじゃないのか? 最終試験にも行かないで、こんなところでわけのわかんない事いって・・・。
「わるかったわね、マール。こちらのミスよ。早く着替えなさい。」
俺はベットから飛び出して、ほんとに飛び出して、直立不動の姿勢をとった。もちろんランもだ。もっとも、ランは憎たらしいくらい落ち着いているし、何よりちゃんと訓練服を着ているが、おれときたら・・・。
「アイアイ、マァム。し、しかし、意味がよくわかりませんが・・・」
「まだ寝ぼけているというのなら、早く目覚めた方がいいわよ。でないと最終試験は超えられないわ。」
クリス・アリジン。訓練キャンプの特別教官にして、もはや伝説になりつつある特殊工作員。この“船”の発見者の一人。 一応この訓練キャンプの教官ではあるが、ここでの訓練に顔を出すことはめったにない。 めったにない、が顔を出してくれたときの訓練結果はいつも三割がたアップする。俺は五割以上。まかせてくれ。なぜって、そりゃあさ、憧れの人の前では精一杯いいとこ見せたくなるってもんだろ!
「こちらの連絡ミスでね、マール、あなたはちゃんと受かっていたのよ。」
「・・・は?」
「二十分あげるわ。軍曹のところへ行って装備を受け取りなさい。野戦Bよ。」
そういってクリス特別教官はそのすばらしく均整の取れた美しい背中を向け、寝台部屋を出て行った。やわらかそうなロング・ヘアが最後に見えなくなり、あとにはなんともいえない良い香りが漂っていた。あぁ・・・。
きっと俺はとんでもなく間の抜けた顔をしているのだろう。呆れ顔でランが行った。
「ということだからよ、早く準備しなよ。 あと十九分だぜ。」






三分とかけずに備品庫についた俺は、とにかくあせって言った。
「野戦Bだ、おやっさん!! 時間がない!! 今すぐ出してくれ!! はやくはやくはやくはやくはやく!!!」
「こらぁ!“最上級軍曹”と呼べと、いつも言っとろうが!!」
俺の爺さんくらいの年齢の軍曹を捕まえて生意気なことを言うようだが、俺はこの軍曹が好きだ。なんとなく気
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