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とある銀河の物語
001 最終試験
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なる。

各種資源の輸送とともに、この夢の技術の運用によって期待されていたものがもうひとつあった。 
異文化との接触である。
宇宙はとてつもなく広いのだ。私たちだけのはずがない。ほかにも、必ず、何処かに、文化を持った者たちがいるはずだ。

その、文化を持った者たちは、確かに、いた。
いたが、今はいない。広大な、膨大な遺跡を残していなくなっていたのだ。遺跡は、あまりにもきれいに、整然とした状態で残っていた。どのような者たちであれ、ここにいた者たちが絶滅したとは考えにくかった。

多くのオーバー・テクノロジーを残して、彼らは何処へ行ってしまったのか。
遺跡を調査した科学者、歴史学者、考古学者たちは、割と簡単に結論を出した。
やはり彼らは絶滅したのだ、と。
では、あのあまりにも完璧に残された遺跡は、どう説明がつくのか。まるでルームサービスが入ったばかりのホテルのようにきれいな建物の数々。
いまだに動力の生きている機械類。確かに食べ物らしいものは見当たらないのだが・・・

答えは“ナノ・マシン”である。
完全に自動化されたナノ・マシン・システムが、遺跡を最良の状態に保ち続けてきたのである。
更なる調査の結果、ここにいた者たちは少なくとも三十万年以上も前に絶滅していたらしい。

ともあれ、私たちはこの遺跡から多くの“超技術”を手に入れることが出来た。
これらの“超技術”たちは“GIFT”(ギフト)と呼ばれ、私たちが独自に積み重ね、開発してきた技術とは区別された。
区別されつつ、融合し、絡み合って、そしてより多くのものを私たちにもたらした。
MBTはその中でも、最大の“GIFT”である・・・

「・・・夢の中でくらい、リラックスしてろよ。なに眉間にしわを寄せて寝てんだよ。」
早朝未明、俺を起こしに来たのは同じ訓練生のランだ。俺と1,2歳しか違わないのに俺よりもずっと背が高く、胸板も厚く、十歳は老けて見える。
「夕べ勉強させられたホロを、夢で復習させられてた・・・なんだよ、今日からオフのはずだぜ、俺は。」
そう、今日は最終試験の日。
毎日毎日、とんでもない訓練に明け暮れながら、この日をどんなに待ち望んだことか・・・。
だが、選ばれなかったのだ。また、選ばれなかった。これで三回目だ。
三回選ばれなかったことを恥じているわけではない。普通は四、五回目で選ばれ、大体七回目くらいでほぼ全員が選ばれるか、訓練自体から外される。まだ、三回だし、それに何より俺は訓練生の中では最年少なのだ。
でも、一回目で選ばれる奴も確かにいるのだ。このランのように。
ランはいいやつだ。なんでも人並み以上に出来るし、ものをよく知っている。いわゆる“エリート”というやつだ。かといってランはそんなことを鼻にかける様子はまったくなく、気さくで、本
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