激闘編
第八十四話 カストロプ動乱
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ンを通じての情報より確度の高い生の情報を得られる事が多いし、政治的、軍事的に利用価値があると見なされるからだった。当然スパイの可能性もあるから、厚遇はしても重要な任務には就かせないのが通例だった。
「能力はあると思います。向こう側では…薔薇の騎士連隊とやらの指揮官だった様です」
「ふむ…それで逆亡命か。オフレッサーめ、派遣する陸戦兵力を減らしたばかりか逆亡命者などを寄越すとはな」
事前の計画では二個装甲擲弾兵師団が派出される事になっていたが、出撃前に送られて来たのは一個戦闘艇中隊と一個装甲大隊が加えられた増強装甲擲弾兵連隊…旅団規模の兵力に縮小されていた。当然ミュッケンベルガーも了承していたと思ったのだが、どうやら違ったらしい。
「まあよい。報告ご苦労だった。国内の討伐任務というのが残念ではあるが、出撃した卿の部下達の昇進は確約しよう」
「はっ。有難うございます」
ミュッケンベルガーはシュムーデ艦隊については何も言わなかった。艦隊戦を任されておきながら緒戦で敗退…功罪相半ば、と言った所なのだろう。
「討伐部隊が帰還したならば、再編成が済み次第叛乱軍に向けて出撃する。当然卿の艦隊もだ。期待させて貰うぞ」
「はっ。では統帥本部に行って参りますのでこれで失礼します」
ミュッケンベルガーの公室を出ると、思わず大きなため息が出た。艦隊司令官として奴に報告するのは当たり前なのだが、オーディンに待機してデスクワーク、というのはどうも性に合わない。この後は統帥本部、その後は軍務省か、やれやれ…。
6月25日08:00
オーディン、帝国軍宇宙港、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「ミューゼル艦隊所属、臨時編制ケスラー艦隊、ただいま戻りました」
「ご苦労だった。どうだケスラー、皆より一足早く大規模な部隊を率いてみた感想は」
「はっ…艦隊司令官はふんぞり反っているだけではないのだと、改めて感じました」
「それが解ってくれただけでも有難いというものだ…当直の者を除いて、今日明日は休養とする。艦隊総員にそう伝えよ。当然、各指揮官達もだ。報告も明後日でよい」
「はっ、ご厚意有り難く存じます」
ケスラー達と別れると、そこには出撃前と変わらないキルヒアイスの笑顔があった。
「しかし…もう一日早く帰投出来たのではないのか、キルヒアイス」
「途中マリーンドルフに立ち寄って、マリーンドルフ伯爵のご令嬢を送り届けて参りましたので…というか、想像通りのお顔をしていますよ」
「…想像通り?」
「俺も出撃すればよかった…」
「…五月蝿いな全く…だが、よくやってくれた、礼を言う」
「いえ、当然の事をしたまでです」
「言ったなこいつ…週明けには昇進だ。お前だけではない、艦隊の主だった者は皆、昇進だ」
「ありがとうござい
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