激闘編
第八十四話 カストロプ動乱
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艦隊司令部、長官公室、
ラインハルト・フォン・ミューゼル
「終わったか」
「はい。首謀者マクシミリアンは自殺、囚われていたマリーンドルフ伯爵とそのご令嬢、殺害された者は残念ですが、残りの官吏達も無事です。詳細な報告書は討伐艦隊の帰還後となりますが、先ずは第一報をと思いまして」
ミュッケンベルガーは俺が作成した報告書に目を通しながら言葉を続ける。
「シュムーデは難儀した様だな……カストロプ公の息子は別動隊に戦闘衛星まで用意していたのか」
「その様です。別動隊は戦術として理解出来ますが、戦闘衛星まで用意するとは穏やかではないと思います。簡単に店で買える品物ではありませんし」
「確かにな…アルテミスの首飾り…これは」
「小官の記憶が正しければ、叛乱軍の本拠地ハイネセンに配備されている物と同じ物です」
アルテミスの首飾り…衛星軌道を周回する十二個の球形の衛星からなる完全自立型の戦闘衛星群。それぞれが高出力のビーム砲、各種ミサイル、戦艦の主砲クラスにも耐えられる偏向フィールドを備え、準鏡面装甲まで施された難航不落の禍々しい白銀の首飾り。ハイネセンにある物がカストロプにもあった…入手先が気になるところだな。
「よく攻略したものだ……核パルス攻撃だと?熱核兵器を使用したのか!?」
「いえ、レーザー水爆ミサイルを現地で改造した物を使用した様です。効果は限定的で、電磁波の影響は地表には及んでいないと」
「驚かせおって…十三日戦争の禁忌を犯したのかと思ったぞ」
熱核兵器…禁忌か。そう思うのなら兵器体系から外せばよいものを…。
「核パルスで衛星群を一時的にブラックアウトさせて、その隙に装甲擲弾兵を衛星に降下させて直接攻撃…中々危険な策だな」
「現場の判断を尊重しましょう。衛星への降下直後に骨折した兵以外、損耗は出ていない様です。指向性のあるゼッフル粒子等があれば…と小官は思いますが」
「それについては現在開発の最終段階にあると聞いているが…卿ならそれをどう使用する?」
「軌道上に大量に放出して点火します。上手く行けば一つ残らず同時に破壊出来ます」
「成程な。それはさておき、よくやったものだ。擲団兵の指揮官は…志願者を選抜して衛星へ降下したのか…ヘルマン・フォン・リューネブルグ、准将…聞かぬ名だな」
「逆亡命者の様です。叛乱軍で大佐の地位にあって装甲兵…装甲擲団兵連隊を率いていたと」
「優秀な男の様だな。卿は会った事があるのか」
「艦隊出撃前の段階では先行するシュムーデ艦隊が艦隊戦を担当、小官の艦隊は惑星制圧が担当でしたので、その打ち合わせの際に一度」
リューネブルグ…戦闘中に叛乱軍から逆亡命した男だ。通常の亡命者とは違い、逆亡命者は厚く遇される事が多い。特にリューネブルグの様に叛乱軍で高位を得ていた者にその傾向がみられる。フェザー
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