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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十四話 カストロプ動乱
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して考えよう…シュムーデ閣下、閣下を後背から襲った別動隊は、カストロプ本隊とは合流していない事は確かなのですね?」
ロイエンタール提督の言を受けて、ミッターマイヤー提督はそう言いながら私に向かってウインクした…そうだ、敵の正体より今は勝つ事を考えるべきだ。
「そうだ。後退後の敵の動きを見る限りカストロプ本隊とは合流していない。申し訳ない事だが今は居場所も分からん」
シュムーデ提督は苦渋という文字を顔に貼りつけたらこうなる、という見本の様な表情で再度頭を下げた。戦えば必ず損害は出るし、不意に前後から挟撃されながら秩序を保って後退した事だけを見ても、シュムーデ提督の能力は非凡といっていいだろう。敵が鮮やか過ぎたのだ。
「お顔をお上げ下さい閣下。次は必ず勝つ事が出来ます」
皆の視線が一斉に私に向けられた。

 「敵は二つ間違いを犯しました」
「二つの間違いだと?どういう事だ、大佐。説明してくれんか」
一つはシュムーデ艦隊を逃がしてしまった事だ。逃がしてしまった事で敵は本隊と合わせて全兵力が一万八千隻である事を我々に教えてしまった。二つめは合流しなかった事だ。合流すれば敵は一万八千隻、我々はシュムーデ提督と合流して約一万五千隻…兵力差はそれほどないが、それでも敵が有利に戦えるのは間違いない。だが敵は合流しなかった事で行動に大きい制約を受ける羽目になった。再合流のタイミングを見極めねばならない上に挟撃体勢に持ち込まねばならないのだ。
「そういう事か…別動隊とて自由に動ける訳ではないという事だな」
「はい。敵は本隊だけでは我々に勝利するのは困難です、必ず別動隊は現れます。そこを討つのです」
「各個撃破という事か…だがそう上手く行くだろうか」
上手くいかせねばならない。問題はタイミングと誘い方だ。
「はい。そこで閣下にお願いがあるのですが」



6月12日09:00
メックリンガー分艦隊旗艦アイツヴォル、
ウルリッヒ・ケスラー

シュムーデ艦隊、行動を開始しました、というオペレータの大きな声が艦橋に響く。シュムーデ提督は囮になる事を了承してくれた。敵を上手く釣り上げる事で緒戦の恥をそそぎたい様だった。
「しかし、シュムーデ提督もよく了承してくれたものだ。確かにキルヒアイス大佐はミューゼル閣下の名代の様な物だが、一介の大佐に過ぎん。場を変えて卿が説得したのか?」
「俺が?そんな事はしていない。ただ…」
「ただ…なんだ?参謀長」
「シュムーデ提督は今回の戦いで長男が戦死された。戦死した長男は大佐にそっくりなんだそうだ」
「それは…キルヒアイス大佐と戦死した長男が重なったという訳か」
「うむ…堪えるだろうな」
「…嫌になるな」
「ああ…」


18:00
 シュムーデ艦隊はカストロプ本星近傍を動かない敵集団に
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