激闘編
第八十四話 カストロプ動乱
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の時と同じ艦隊だとしたら…。
「卿は今回の正体不明の艦隊が、クロプシュトック討伐の時のあの艦隊だと言うのか?…どう思う、参謀長」
「にわかには信じがたいが…あの時の正体不明の艦隊は確か、叛乱軍の艦艇で構成されていたな。シュムーデ艦隊からの情報には、それは無かったぞ。考え過ぎではないのか」
「もうワンセットあるとしたらどうですか。あれとは別に、帝国軍の艦艇で構成された艦隊が存在するとしたら」
「まさか」
「思いつきに過ぎない事は確かです。ですが否定するに足る確たる証拠がないのも事実です。あの艦隊を運用している者達は、古いとはいえ多数の叛乱軍の艦艇をこの帝国内で運用する事の出来る資金力と能力を持った者達です。であれば帝国内で帝国軍艦艇を揃える事など造作も無い、と思われますが」
「しかし我が軍がそれを見逃す筈は…そうか、貴族達の艦艇があったな。では卿は、正体不明の艦隊の裏には貴族達が絡んでいると言うのか」
ケスラー参謀長とメックリンガー提督の表情は、不審から驚きに変わり、更には呆れ顔に変わっていた。喋っている私でさえそう感じる部分があるのだからそれも仕方がない。
「いえ、それはないと思います。ですが貴族の方達は自らが保有する艦艇を売る事が出来る…帝国軍から払い下げられた艦艇も存在するでしょうし、そしてそれを買う事の出来る資金力を持った者達もまた存在しています」
「資金力を持った者達か…帝国や貴族ではないとすれば、卿は…フェザーンの事を言っているのか」
「可能性はあります。あの時ミューゼル閣下は、謎の艦隊の裏にはフェザーンが存在するのでは、とお考えでした。戦局が叛乱軍に有利な状況で、彼等が死兵を使う様な策を用いる必要はない、だとすれば、と…それを思い出したのです」
「…提督、もう一杯貰えないか」
「構わんよ…もうニ、三杯は必要だろう」
メックリンガー提督はお互いのグラスにモルトを注ぐと、何も言わずに私のグラスにも注ぎ出した。
12:00
メックリンガー分艦隊旗艦アイツヴォル、
ジークフリード・キルヒアイス
「そんな事が…フェザーンは非武装中立の筈だ、有り得ないだろう」
会食も兼ねて作戦会議が始まった。私の推測を聞いたシュムーデ提督は予想通りの反応だった。参謀長やメックリンガー提督は私の考えを肯定的に捕らえてくれたが、私の想像に過ぎない事は確かだし、シュムーデ提督がこの推測を肯定する理由はどこにもない。私達のやり取りを黙って聞いていたロイエンタール提督は話に加わる頃合いだと判断したのだろう、ナプキンで口を拭いながら、口を開いた。
「可能性は確かにある。だがそう決めつける事も出来ないのも確かだ。敵の正体はさておき、まずは対処法を決めようではありませんか」
「そうだな。敵の正体に悩むより、カストロプ軍一万八千隻と
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