激闘編
第八十四話 カストロプ動乱
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タールには俺から伝えておこう。では」
「シュムーデ艦隊と合流ですか、提督」
「そうらしい。まさか敵に別動隊を組織する余裕があるとはな。大貴族のお坊ちゃんだからとて侮れんぞ。ミュラー、卿も来るか?」
「行きたいのは山々ですが、小官まで同行してしまいますと司令部に残るのはバイエルライン中佐とドロイゼン少佐だけになってしまいますが…」
「それもそうだな。では悪いが卿は残ってくれ」
「了解です」
ナイトハルト・ミュラー、今回の出撃の為に艦隊司令部から派遣された男だ。若いが沈着冷静、バイエルラインやドロイゼンにも見習って欲しいものだ…同じ様にロイエンタールの所にはワーレンが派遣されている。ケスラー、メックリンガーを支えるのにはキルヒアイス…今回の配置を進言したのも奴だ。前衛両翼に俺とロイエンタール、中央後衛に戦局全体の火消しとしてメックリンガー、それを参謀長のケスラーとミューゼル閣下の意思を反映すると言ってもおかしくないキルヒアイスが統括する…ただののっぽなどではなかった。出来る男だ。
“何か用かなミッターマイヤー提督”
「ロイエンタール…何か用か、は無いだろう。シュムーデ艦隊と合流後、作戦会議だそうだ。シュムーデ提督も来られるらしい」
“了解した…なあミッターマイヤー、敵の別動隊だが、一万隻もの艦隊を急に編成出来ると思うか?”
「俺もそこは疑問に思う。若し宇宙海賊の類いを雇ったのだとしても、奴等に整然と艦隊行動を取れるとも思えん。まあ何にせよ敵には違いない。とりあえず作戦会議を楽しみとしようじゃないか」
“そうだな…では後で”
09:15
メックリンガー分艦隊旗艦アイツヴォル、
ジークフリード・キルヒアイス
所属不明の一万隻…カストロプ家に与する何者か…それとも単純に傭兵の類いだろうか…。
「参謀長、メックリンガー提督、少しよろしいでしょうか」
「どうした、大佐」
作戦会議でじぶんの考えを披露する前に、二人には先に話しておかなければならない。
「秘密の相談かな?…リッチェンス、艦隊の座標はこのままで固定だ。少し頼む…二人共、私の部屋に行きましょう」
メックリンガー提督は自室に移動すると、キャビネットからグラスを三つ取り出した。
「私はワインよりこっちの方が好みでね」
瓶の中身はモルトウイスキーの様だった。
「気付けの一杯か。それでは大佐、話を続けてくれるかな」
「はい。お二人はクロプシュトック侯の反乱の時の事を覚えておいでですか」
そう…あの時も正体不明の艦隊が現れた。少し旧型の叛乱軍の艦艇で構成されたそれは当時の我々…ヒルデスハイム艦隊の後背から迫って来たのだ。アントン、ベルタの両提督が対処していなければ、今回のシュムーデ提督のように挟撃されていたかもしれない。若しあ
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