激闘編
第八十四話 カストロプ動乱
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部の望む所ではあるまい」
メックリンガー提督の答えを聞いたケスラー参謀長の口元は真っ直ぐに引き結ばれていた。意図して言ったのではないだろうが、提督の答えは参謀長の退路を断った様なものだった。事前の情報から二個艦隊も送れば充分、と判断した統帥本部や宇宙艦隊司令部は正しい。そう判断したからこそミューゼル艦隊も全軍ではなく臨時編成での出撃を許されたのだ。だが援軍を求めるという事態はその判断は誤りだったと証明してしまうばかりか、我々の能力にも疑いが持たれてしまう事は確実だった。ラインハルト様の立場を思えばそれは絶対に避けなければならない。更には軍、特に三長官の能力に疑問符が付きかねない。そうなっては困るのが軍の現状だった。私の目から見ても、シュタインホフ、エーレンベルグ、ミュッケンベルガーの三元帥に代わる人材が現在の帝国軍にはいない。能力はあっても地位が釣り合わない。三長官の地位を望む者は多いだろうが、突然その地位に着く事を望む者はいない筈だった。ラインハルト様とて現時点ではどの職も望んではいない。今のラインハルト様は能力以前に指揮官として地歩を固め実績と信頼を勝ち取る必要がある。だからこそ部下の我々だけを出撃させたのだ。それに面子の問題もあった。地方反乱ごときに大艦隊を派遣していては帝国軍の鼎の軽重が問われる、軍内外から必ずそういう声が上がるだろう。確かにその通りだし、相手は反乱を起こしたとはいえ全く計画的なものでもない筈だったし、しかも貴族で職業軍人でもないのだ、そんな相手に苦戦など許される事ではなかった。
「一旦後退してこの星系から出る。キルヒアイス大佐、シュムーデ艦隊に合流の要請を。 善後策を協議しよう」
シュムーデ艦隊は既に星系外に退避しているが合流にはそれ程時間はかからない…四割の損失…今は六千隻から七千隻程の兵力になっているだろう。
「参謀長、シュムーデ提督と通信が繋がります」
「閣下、この度は…」
“よい。私の慢心がもたらした結果だ。卿等にも迷惑をかけるな…済まぬ”
「お顔をお上げ下さい。一度の敗戦は一度の勝利で償えばよいではありませんか。戦いはこれからです」
“そう言ってくれると少しは気が楽になるというものだ…合流したいという事だが”
「はい。合流して善後策を協議したいと考えております。合流後、小官、メックリンガー准将、ロイエンタール准将、ミッターマイヤー准将、そしてキルヒアイス大佐、計五名で閣下の元へ参ります。宜しいでしょうか」
“そうだな…いや、私がそちらへ行こう。その方が手間が少ない”
「ご足労おかけします。では後程」
08:45
ミッターマイヤー分艦隊旗艦イェタラント
ウォルフガング・ミッターマイヤー
「そうだな、確かに協議は必要だ。了解した……ああ、ロイエン
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