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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-終幕-
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かるのは自分以上に、今回の事件に詳しいということだ。
「それは...難しかったでしょうに」
「いやいや、どちらかと言うとこっちの方が本業っすから」
魔術の基盤自体が違ったからか、その謎を最後までわからなかった紫式部が驚くが祐介は首を振ってそれを否定する。
「本業?」
しかし自分はそれより魔術を解体を本業と言ったのが気になった。魔術の解体というわけが分からないことを言っているだけではなくやってのけているので確かにそれだけの腕があるのだろうが。
「エインヘリアルは元々研究機関だ。我の強い傭兵みたいな連中がいるから傭兵集団のように見られているが前身となった組織からこの世界について深く調べているんだ。傭兵家業はあくまで資金調達と情報収集という訳だ」
自分の疑問に答えたのか祐介ではなくアタランテだった。相変わらず自分達とは逆方向を見ながらその疑問に答える。
そもそもエインヘリアルという名前自体そこまで聞き覚えがあるわけではなかったが、この強さは強さだけを追い求めていた訳では無いというのに素直に驚く。最初に傭兵と名乗っていたのはめんどくさい事に巻き込まれても傭兵だから、で突き通すためだろう。
「この世界の研究ということでサーヴァントや魔術を調べるのもやるっす。その中で使えるものをこちらで実験したりして、実用化してるってことっす」
祐介がそこまで話してやっと理解した。なぜあの時祐介だけが飛び出したか。それはエインヘリアルの仕事で魔術を扱う機会が多く、その対処に慣れていたからだろう。そう考えれば合点が行く。
この世界について研究している機関があるとは聞いたことがないが、確かに魔物やサーヴァントなど知らないことも沢山ある。それらを調べようとするのも不思議なことではあるまい。
「そんな研究を」
「いつかは、こんな世界でも普通に暮らせるようになるっすよ。法も秩序もいつかは戻る。そうしたら、普通の生活がまた暮らせるようになるっすから」
そう言って祐介は立ち上がってこちらに笑顔を向ける。笑顔、とは言っても少し引き攣っていたが。
─その顔を見て、少し思い出した。
夢の中で、家族を失った男を。彼は恐らく川本さんのフリをしていた誰かだ。世界が崩壊したことで、家族を失い、名を失い、自由を失った。
彼のその人生は不幸だった。そしてそこには自分の両親の陰があった。
その行為がなんであれ愛した娘を取り戻したいと思った夫婦と彼らに救われた恩返しとして娘を助けに来た男。そういえば彼は間違いなく正義の味方だった。
しかし、自分は彼を殺した。後悔はない。戻りたいとも思わない。これは自分で選んだ道なのだから。しかし、それはただのわがままではないか、と思ってしまう。
祐介も世界が崩壊した影響で多くの
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