暁 〜小説投稿サイト〜
『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-終幕-
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
でその場に正座する。
 おそらく彼が飲んだのはセンブリ茶等のよくテレビ番組での罰ゲームとして扱われるものだろう。それにしてはリアクションが大きい気がするが、今までの彼を見てるとそんな感じになりそうな気もする。
 祐介が飲んだお茶はアタランテから受け取った物。間違いなくアタランテの仕業だ。そう思ってみるとアタランテはプイッとそっぽを向いていた。
 確実に拗ねている。恐らく祐介が何も伝えずにメレアグロスの宝具を起動して自分たちを庇って八つ裂きにされたことだろう。相棒として何も説明無しにそんなことをされたら怒るのも無理はない。しかし祐介はそんなことに気付く素振りもなくこちらを見ている。

「葵、よく飲めるな...こんなの」
「あ、いや。私の普通のやつだし。飲んでみる?」

 苦いのに耐える顔をしながらセンブリ茶をチマチマと飲んでいる祐介に自分のものを差し出す。これで口直しになるだろう。

「あ......───いや、いい。いいっす。あんがとござんした」

 すると予想に対して祐介は顔を明らかに赤く染めて逆方向を向いてしまう。
 ああ、そっか。彼は間違いなく《普通》なんだ。だから関節キスとか考えて緊張してしまったのだろう。そんなことが他人事として考えられてしまった。

「あのぅ...祐介、様?」
「なんすか?」

 そんな祐介に紫式部が罰が悪そうな表情で声をかける。一応アタランテから隠れるようにチラチラ見ているようだがアタランテはジッと恐ろしい顔でこちらを睨んでいる。

「その...アタランテ様に一度謝られた方がよろしいのではないかと...」

 紫式部は彼女なりの配慮で話しかけるが祐介は何も気づかずに首を傾げる。

「え?なんでっすか?」
「それは、その...アタランテ様は祐介様が死んだと思われて心配しておられたので...何も告げずにした独断行動でしたので。心配なさるのも無理はないかと」

 実際アタランテも気付いていなかったので、祐介が誰にも言わずに独断行動をしたという点は言い逃れできないだろう。自分は傭兵のアレコレなんて知らないが、流石に独断行動をしただけでなく、傷を負うなどしたら怒られるのは当然だろう。

「敵を騙すにはまず味方から。よく言う言葉っすよ?そもそも俺が死んだことぐらい想定して戦えなきゃ...」

 戦えなきゃいけないっスよ。
 そんなニュアンスの言葉が出てくると思ったが、それは飛んできた何かによって遮られる。

 ヒュン。

 誰が飛ばしたかなんて考えることもないだろう。話を聞いていたアタランテが手に持っていた宝具で矢を放ったのだ。
 その矢は綺麗に祐介の頭に突き刺さる軌道だったが素早く対応した祐介が突き刺さる直前でその矢を掴む。

「あっ──ぶなぁ...今宝具起動し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ