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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-拾伍-
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母さんは自分の腹を痛めてまで、自分を産んでくれた。こんな歳になるまで、必死に育ててくれた。そこに愛があったのはちゃんと感じていた。
父さんだって、他の人間同盟の人間が自分に暴力を振るった時、その人間に対して怒ったのだ。サーヴァントに対する怒りはあっても、マスターに対する怒りがあっても。娘を見捨てる気にはならなかった。
そんな家族を、裏切って、一時の快楽に身を任せて。挙句もう一人の人格に押し付けた。
そんなことをして、本当に後悔はないのか?
「だとしたら言おう。君は《《間違っている》》。確かに家族も他人だ。喧嘩したり、分かり合えないこともあるだろう。しかし赤の他人では無いのだ。彼らは貴女を愛している。戻って来て欲しいと、心から願っている。それに貴女は、たった一度の空想の快楽に負けた。それは、本当に、いい事なのか?」
幻影が言う。
紫式部は、空想の存在。崩壊世界となったから会えたし、繋がることも出来た。しかし過去の人の影法師という点と今を生きる人間という点ではどうしても大きな差が生じる。
「愛があればいい。そんな言葉で逃げては行けない。それなら彼らが愛した貴女はなんだ。貴女は過去の貴女すら裏切ったのだ」
うるさい。うるさい。うるさい。
そんなことは無い。紫式部は、私をおもってここまで来てくれた。そこに間違いはない。悪いのは、私が愛した彼女を受け入れられない家族の方だ。娘の好き嫌いぐらい、受け入れられないのに、私だけを求めるな。それはただのワガママだ。
「それこそワガママだよ、レディ。貴女は大人だ。家族に全て委ねろとは言えない。しかし、彼らの気持ちを汲んでやることも、考えなかった。深層心理の中で、貴女はこう言ったのだ。」
「家族なんて、私の愛を認めない家族なんて。必要ないのだ」
哀れ、哀れ。なんと哀れなことだ。これでは悲惨すぎる。差別に侮蔑。力による略奪に耐えしのぎながらも、娘のことを思った家族にこの仕打ちか。
「私は、私は───」
本当にこれでよかったのだろうか。
薄れた意識が、夢と現実をひっくり返しているようで。今目の前にあるものが、夢なのか現実なのかも分からない。
けど、そんなことどうでもいいのかもしれない。自分は家族を見捨てたんだ。なら、見捨てられても文句は言えない。愛を裏切ったんだ。なら、裏切られても文句は言えない。
だからきっと、これは私にとっての、報いなのだ。
瞼が急に重くなる。これで眠ったら、私はもう戻れないと知りながら、それには抗えない。当然だ。快楽に負けるような人間が、睡魔に勝てるものか。
このまま眠ってしまえば楽になる。またこうしてそれを繰り返す。ただ、それだけだ。源葵という人間は、それで。終わりなんだ。
「違
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