第27話
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――――落ち着けや。麒麟児。このままだとコイツらの狙いに嵌っちまうかもしれねぇぞ……?」
するとその時ヴァンがアーロンに忠告した。
「なにィ……ッ!?」
「さっきその女はお前の事をメインディッシュの一つと言った。本命の一つはあくまで黒月との決戦なんだろうが……」
「っ………」
ヴァンの忠告を聞いたアーロンは唇を噛みしめてオーラを収めた。
「やれやれ、アタシとしたことがつい口を滑らせちまったか。まあいいさ、ここまで来たら全部教えてあげようじゃないか。まずは昔話―――いいや、御伽話と洒落込もうかねぇ。」
「お、御伽話……?」
「……………………」
ヴィオーラが口にしたある言葉を聞いたアニエスは困惑し、アーロンは真剣な表情で黙り込んだ。
「煌都ラングポート、とりわけ東方人街で伝えられてきた忌まわしき伝承さ。数十年前から百年に一度、時代の節目に煌都に現れるという――――――黒月を含めた東方人たちを導き、支配し、隷属させる絶対的な存在。」
「君主にして戦士、解放者にして支配者――――――絶大な力とカリスマ性を備えた人の枠を遥かに超える――――魔人。いつしか畏怖を込めてこう呼ばれるようになったという――――――”大君”、とな。」
「……!!」
「”大君”……」
「あのお婆さんから聞いた……」
「この地と同じく、長老たちに封じられた煌都の闇って所か……いずれにせよ大昔の話なんだろうが?」
ヴィオーラとアレクサンドルが語った話を聞いたアーロンは血相を変え、アニエスとフェリは呆け、静かな表情で呟いたヴァンはヴィオーラとアレクサンドルに指摘した。
「そう、昔の話。先代の”大君”が煌都に現れたのはもはや半世紀前も昔のこと。代々の中でも特に傑物だったそうでねぇ。黒月や”銀”すら従え、導力革命直後の変革期の中でも見事にラングポートを治め――――――東方人たちの勢力を更に拡大させたそうだ。フフ……そういう所はウチのボスと似てるかもしれないねぇ。」
「だが、その統治は次第に歪んでいった。ひたすら正しい判断を下す”大君”。だがそこに少しの情を挟む余地もなかった。正しさに従い創造し、正しさに従い破壊する。――――――魂すら支配するかのような人在らざる魔人。共和国政府の介入すら物ともせずのしかかる”恐怖”が煌都を蝕んでいった。」
「結局――――――当時の黒月長老たちはその”恐怖”に耐えられなかったらしい。主として仰いでいた”大君”を裏切り、恥も外聞も捨てて”銀”や外部の力を借り……死闘の果てとある地に”大君”を封じ込めて孤独の中で息絶えさせたそうだ。――――――その場所が、ここ”黒龍城塞”ってわけさ。」
「そ、そんなこと
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