暁 〜小説投稿サイト〜
『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-拾参-
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
の左半分に至って潰れて原形を保っていない。

 しかし彼は立っている。その闘志は全くもって消え失せていない。それどころか、もっと強くなったように見える。
 川本敦という名の殻を破って出てきた無名の男は、残ったひとつの目でこちらを見つめている。

「なるほど。エインヘリアル(死せる戦士)と呼ばれるだけの事はある。私の敗北だ」

 一歩、彼が踏み出す度にロボットが軋むような音がする。
 もう、永くない。それは彼が一番よく知っていることだろう。サーヴァントと戦うことすらできた彼も今ではまともな戦闘すらできない。祐介がこれば一瞬で切り捨てられるだろう。しかしその祐介は大量のサーヴァントと格闘戦を行っている。ここに参加するのは厳しいだろう。
 つまり、自分たちで対処するしかない。

─出来るのか。

「しかし、最後の勝ちまでは譲らない」

 彼は折れた刀を構える。
 アタランテは両腕を負傷し、紫式部は格闘戦が出来ない。しかし自分もほとんど体力が残っていない。彼は魔性では無いので、紫式部と作った礼装も効果を発揮しない。
 純粋な格闘勝負。

─自分が何とかするしかない

 少なくとも祐介が来るまでは時間を稼ぐしかない。
 力のない身体にムチを打って立ち上がる。刀と拳、刀が折られているとしてもリーチはあちらの方が上。彼が永くないということを踏まえれば短期決戦で来るはず。
 構えをとる。一撃、たった一撃かわせばチャンスが生まれる。

「やめてください...って言っても聞かないですよね」

 一応彼にそう言って抵抗を止めるように言うものの彼は口を噤んだまま、刀を構えている。
 覚悟を決めるしかない。
 これは魔獣や葛城財団のようなヤツらとの戦いとは違う。

 純粋な、命を賭けた、殺し合い。

「どんな手を使おうとも、私は、君をっ...!」

 彼が飛び出したのを合図にラストバトルは始まった。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ