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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-拾参-
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のから体を離したい。
恐ろしいものから目を背けたい。
単純で、だけど叶うことの無い願いがあって、それを叶えようとするために道を間違える。どうしても目の前の人間を喰らうほどの悪性がある。けど、最初の願いはそんなものだ。それは悪くない。悪くないのに、悪いことに繋がるからと殺してはいけない。
憎悪を抱くべき対象はただ一つ。
─そんな人たちを傷つける存在だ。
「俺だってさ、痛いし怒るんすよ」
ため息をつくように言葉を並べる。
周りに立つのは王の軍勢の名の通り一人の王に使えた騎士団達だ。数に任せた全力攻撃。あの時、自分がまだ弱かった牛若丸モドキとの戦いの時とおなじだ。
あの時は弱かった。力はあっても使い方を知らず、サーヴァントになんて勝てないと決めつけ、逃げることすらしようとしなかった。深澤浩二に背中を押されなければ自分は一生あそこにいただろう。嫌だと言いながら、何も行動することは無かっただろう。
しかし、今倒れている彼女たちは違う。勝てなくても、負けるとわかっていても、《逃げる》という手段をとった。とることが出来た。それは褒めるべき行為だろう。もし非難する場所があるとすれば初撃で《蘇生宝具》が無ければ死んでいた自分だろう。
彼女達は悪くない。しかし負けて、いまこうして倒れている。その理不尽さが、更なる怒りに拍車をかける。
「だって、それが人間っすよね?」
余裕を失いながらも自己を保つように「っす」の語尾を忘れず、構えをとる。
「ま、ァスタ...たァ」
涙と泥で顔を汚した自分のサーヴァントが縋るように目の前に体を引きずりながら現れる。無様な姿だ。顔は泥と涙でぐちゃぐちゃで、両腕は肘の辺りで斬られ、残った場所にも弓矢が刺さっている。足はぐちゃぐちゃになるまでに変形しており、とても純血の狩人という2つ名を持つ高貴な彼女とは結び付くような容姿では無かった。しかし、逆に言えばそうなるまで戦ったということだ。単独行動があるとはいえ、マスターを失った、この環境で。彼女は主が死んだと思いながらもよく戦った。少ない魔力で、消えかかりそうな灯火のような自己を保ち、戦い続けた。立派な英雄だ。
「よく頑張った。アタランテ。後は任せろ」
そういうとアタランテは安心したようにその場に倒れる。その顔は酷い有様ながらも安心したような顔をしていた。
「葵、紫式部。アタランテを、頼んます。それと、ありがとう。戦ってくれて。その雄姿はちゃんと見たっすよ」
葵と紫式部が倒れたアタランテに駆け寄る。雄姿を見た、というのは実は嘘だが彼女達の様子からそれは察せられる。そして同時に彼女達ももう戦える状況ではない、という事もわかる。だから守るということは出来ないだろう。させる気もないが。
これ以上彼女たち
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