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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-拾弐-
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!!!」
何よりも頼りない、敗者の絶叫が、結果内に響いた。
もし、それを防ぐものがいなかったら。最悪の状況だったと言うように。
「全く。らしくないっすよ。アタランテ」
幻聴と思われる声が耳の中に響いた。そんな形のないものにすら縋りたくなって顔を上げる。そこにはと紫式部と葵に組み付いていたサーヴァントの首と胴体が別れていた死体が積み重なっていた。
たった一瞬。瞬きの間だろう。その隙にサーヴァントを、倒した。
「...え?」
そこに立つのは一人の男。
人類最強のマスター?
否。
人類を敵に回した天王寺の人間?
否。
多くの人を救った深澤浩二か?
否。
そこに立つのは誰よりも知って、誰よりも信頼した一人の男。自らの相棒であり、マスター。
信じられないと口に言おうとした。しかしそれはなかった。頭が自分の考えより、目の前にある答えを信じたからだ。
「お前ら、たった三人の女に大人気ねぇとは思えないんすか?」
日本人らしく真っ黒の髪の毛は少し紫がかっており、衣服は緑のマントの代わりに黒紫色の毛皮を羽織っている。先程振るった腕は彼女達を助けるために血で汚れて、元の色が分からなくなっている。しかし表情は強気で細い眼は殺すべき相手を睨んでいる。
そして勝ち気にパシッと音を立てながら拳と掌を付き合わせている姿からは余裕すら感じられる。
真木祐介。
エインヘリアルのマスターの一人にして、崩壊直後に体内に怪物を埋め込まれた《《元》》人間。
そしてその怪物と繋がりがある一騎のサーヴァントと契約し、もう一騎のサーヴァントの《《サーヴァントカード》》を使用する魔術師、ではなく魔術使いの一人。
そして、この場に立つたった一人の英雄。
彼は挑発的に人差し指をクイクイと折り曲げながら言った。
「第二ラウンドだ。全員纏めてかかってこい。英雄モドキ」
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