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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-拾壱-
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 暗い表情のまま、葵が頷く。
 もし自分がいなかったら、もし自分が最初から川本を敵だと気付いていたらと色んなことを考えてしまっているだろう。しかし残念ながら川本が回復する可能性を考慮すればそんなことに時間はかけられない。
 紫式部が葵の背中に手をかけて歩き出す。
 所々に放置された死んだ直後の死体には目もくれずにその空間から出ようとしたその時だった。

「なんだ...?」

 何かに違和感を感じて周りを見渡す。そして、大きく驚く事になった。
 柱が急速に腐るようにしおれ、壁の色が変色していく。天井はいつの間にかなくなっており、穴だらけの地面は穴から砂が流れ出してきている。

「これは...!まさか」

 紫式部が何かに気付いたように地面の砂を見る。気付いているのだが、信じられなさそうに両手の指を絡ませて息を飲み込む。

「知ってるのか!?」
「知っているというより、理解しました」

 聞くと冷や汗を流しながらも冷静に状況を理解した紫式部は大きな声を上げてこの現象の答えを言う。

「これは、固有結界です!」

王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)ィィィィ!」
「うおおおおおおおおお!!!」

 遠くで、数万人の大男たちの雄叫びが聞こえた。
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