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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-拾壱-
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た。ほぼ同時だとかそんなものでは無い。完全に同一のタイミングで放たれたのだ。何かしらの仕掛けがなければありえない。
つまり、次の川本の行動は。
「紫式部!」
光の壁に囲まれていることでしばらく動けない葵ではなく、紫式部が狙いだ。
川本が弾丸のような速度で紫式部に接敵する。刀は振り上げてている戦闘態勢だ。斬撃は飛ばさず、生身での特攻。紫式部をそこまで警戒していないからだろうか。
斬撃を飛ばす必要性すらないと言いたげな川本の動きは逆に自分をフリーにする。
「ガラ空きだ」
「そっちがっ!」
川本の切り捨てるようなセリフに反論しながら矢を放つ。光の雨が止んだ今、弓を引く動作を止めるものは無い。それに気付いた川本が斬撃を走らせるが、今更遅い。
サーヴァントはマスターを失った直後に消えるという常識が彼の中にあったのだろう。残念ながらアーチャーのサーヴァントは『単独行動』のスキルを持つ。自分の『単独行動』のランクは最高ランクのAランク。魔力消費は捨てきれないが簡単には消えない。
連続で放たれた七本の矢が全て川本の関節を射抜く。それと同時に斬撃で閉じ込められていた葵が解放されて川本にかかと落としを当てて地面に押し当てる。多少の迷いは見えるが洗礼された無駄のない動きだ。その一撃が川本の首筋を捉えて叩きつけられた地面にヒビが入る。
その一撃が効いたのか川本は地面にめり込んだまま、ピクリともしなくなった。おそらく死んではいない。気絶しただけだ。しかしその隙は大きく、見逃せない。祐介のポケットからグレネードを出して川本の元に向けて投げる。
そしてそれが起爆するより前に弓を魔力に変換させて一人と一騎の元に走って二人を抱えて距離をとる。
そしてグレネードは川本をも巻き込んで大きな閃光を広げるように爆発した。
「大丈夫か!?」
葵は川本を踏みつけた体勢のまま、紫式部は多少着物が汚れてしまったが無傷のままだった。
勝利ではあるがその表情は暗い。
「ええ、何とか」
「けど、祐介は...」
紫式部も葵も地面に散らばった上に光の雨が少し当たったため、元の形すらわからなくなってしまった祐介を見ている。
葵と紫式部は祐介がいなければ初撃で死んでいただろう。それを助けた祐介は全身を切り刻まれた。祐介がいなければその場で無惨な死体になっていたのは自分だったと思わせる悲惨な死。
仕事の都合上どうしても死人を多く見ることになってしまう祐介はともかく、紫式部と葵は見なれているはずがない。顔が青くなっているのが見られる。
「...私も単独行動のスキルがあるとはいえそこまで長時間は期待出来ない。早くこの場から出るしかない。お前たちの犠牲は、マスターが最も避けたかったことだろう」
「...うん」
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