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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-玖-
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況で接敵。こちらには戦えばするが戦闘力が未知数な死なせてはならない依頼人と彼女のサーヴァント。キャスターというクラスから考えても正面先頭は向いてないだろう。要するに戦えるのは自分だけという可能性もある。その状態でアーチャークラスである自分ここまで接敵を許してしまう敵となると相当熟練度が高い。気配の質からしても祐介では無い。
 そもそもマスターと駆け出した方向とは逆方向。距離は約30メートル程度。戦闘力の高いサーヴァントならゼロ距離と大して変わらない。

「(方向と距離は?)」
「(マスターとは逆方向、距離は25m)」

 危険だ。近すぎる。別に弓矢で迎撃できない距離ではないがもし敵が槍を持って突貫してきたら。速度しだいではかわしきれない。

「(二人を守って退却。俺が後ろを取るから絶対に囲まれるな)」

 祐介からの冷静かつ的確な指示が入る。
 後ろを振り返って葵と紫式部を見ると葵も状況に気づいたようで後ろを警戒しながらも後ろにゆっくり下がる。
 現在祐介が回り込んで相手の背後を取っているはずだ。挟み撃ちにすれば戦力的な差があっても上手く削りやすい。

 と、そこまで思った時に後ろで何かが動いた。葵だ。
 そう思った瞬間、葵が口を開いた。

「川本さん!?」

 出てきたのは藍色の和服を着た。いかにも武士のような見た目の男だった。川本。本名、川本淳。葵と紫式部をここまで連れてきた張本人でありここの辺りではある程度名前が売れた傭兵だ。気付けば紫式部も目を見開いて驚いた表情をしている。

「ああ、やっと見つかった。ソナタ達がいなくなってから、探したぞ」
「すみません。はぐれてしまいまして」

 武士のような口調で話しかける姿は敵には見えない。葵や紫式部の反応から見ても悪い人物では無さそうだ。

 安心して祐介との念話を再開する。

「(...いや、その必要は無さそうだ)」

 二人と一騎は仲が良さそうだ。話を聞くに、今回の仕事限りでの関係とは聞いていたがもしかしたらかなり仲がいい二人なのかもしれない。

「(何故だ?)」
「(彼女達が探していた傭兵だからだ。とりあえず )」

 とりあえず合流しろ。その後話し合おう。
 そう言って念話を終わらせようと思った。その時だった。

「(馬鹿っ!直ぐにそこから逃げろ!)」

 祐介の焦った声が聞こえたかと思ったら念話が一方的に切られた。
 これ程まで祐介が焦るのも中々珍しい。そう思って思わず葵の方を向くと、男と目が合った。

「っ!!」

 声が出ない。恐怖や威圧などではない。声を出しているはずで、声帯は震えているのに、それが声として出てこない。
 その時初めて理解した。祐介の言いたかったことを。

「ああ、なんとも勘のいい男
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