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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-玖-
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て成りなったのはかなり早い。そういう人たちが全員という訳でもないし、彼らの中に確実に入っているという確証もない。中にはただ有名な人や力のある人が許せないという思想の人間や、海外からきた労働者もいる。しかしそういう人たちがいたのは見てきた。彼らの憎しみを、怒りを。理解してしまう人は特にエインヘリアルには多かった。エインヘリアルのメンバーには潜在能力の高いマスターが1番多いが中には彼らの被害者がいる。その多くが多くの作戦で死んだものの、生存しているメンバーの中にはそのような者たちに同情する者が多い。
「...祐介は?」
葵は少しだけバツの悪そうな表情をしているが驚きなどはそこまで感じられなかった。察しが着いていたようには思えないので恐らく、似たような経験をした人間にあったか。もしくは、彼女自身がその経験者か。
「ん?どうした」
「祐介はどうして、許したの」
葵は少し下を俯きながらポツリとこぼすように言った。彼女には許せない何かがあるのか。誰かに虐げられた経験、誰かを虐げた経験。このような世界となってはどちらとも持たないものはほとんどいないと言える。
だからこそ、許せない。許されるわけが無いと考えるのはある意味自然なことで、しかし心の問題を抱えたまま生きるのはとてもいい話ではない。
しかし、マスターが許したか、という話になると少し別だ。
「マスターは、許してなど...いない」
少しためて、いや躊躇いながらそう答えを言った。マスターは、真木祐介は決して。自分を虐げ、罪のない人々を殺していたマスターを許してなどいない。
それどころか世の中にいる他のマスター達にも怒りや憎しみが向く時も無いとは言えない。
「え?」
「エインヘリアルには、今でもマスターやサーヴァントを憎む奴らがいる。それでもそれぞれ、ちゃんと考えを持ってその憎しみを抑えている」
逆に葛城財団を憎しみすぎた結果狂犬のようになる女性などもいるが彼女を含めて彼らはエインヘリアルを攻撃したり、敵に情けをかけすぎて見逃したりすることはしない。
「自分の感情と行動にある程度仕切りを作ってしまっているんだ。それがいいとは言えんが、だからマスターは世の中のマスターを皆殺しにしようとか思ってはいない。思っても、実行には移さない」
葵の表情が変わる。
どうやら彼女は自分の先程までの予想とは別方向の経験があるようだ。例えば家族関係のしがらみがあったりなどが考えられるがそこは個人的な話なので介入はしない。
「それより、そんなマスター達のせいでお前達に迷惑がかかったり、最悪死んだりするなんてことも、よく思っていない。だからこそ、マスターは今回、お前達を助けた」
葵はマスター、祐介のかけて行った方向を呆然と眺める。祐介はエインヘリ
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