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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-捌-
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った人間はその力に酔いしれ破滅する。力とは人が立つために必要なものであると同時に欲望と理性の天秤をかける毒物でもある。それに負ければ地獄になる。

「けどな、先輩は違う。あの人は、あの人の師匠はな、神に立ち向かったんだ。勝てるはずのない相手に、自分の全力をぶつけて。」

 名前すら知らないどころか会ったことすらないんだけどな、と翔太郎は誤魔化すように手を軽く振って、言葉を続ける。
 
「先輩の話じゃ、もう死んだらしいけど…その人の残した魔術が今の世界にいる少ない人間を生かしている」

 魔術。バカみたいな話だが、確かにあるのだろう。それをこの目で見た。ありえない話だ。本当に、信じたくない。

「偉いのか?その人間が」

 それよりまるで、その死んだ人間が偉いように言う翔太郎の言葉が、何故か気に食わなかった。彼もマスターだったのだろうか。ここまで来ればただの嫉妬だが、それでも恨んで許される立場ではあるだろうと、その時は無理矢理納得させた。

「バカみたいな話だよ。いいや、馬鹿だ。けど先輩が言うに、その行動にも、きっと意味はあったんだって。先輩はお前らのことを雑に扱う気は無い。対等に、同じ人間として、この世界を救える戦力として考えている」

 だが、翔太郎は躊躇いもなく、その男を馬鹿にした。馬鹿にしながらも、その行動は評価した。彼は彼なりに考えがある、そんな当然のことを理解出来ずに、翔太郎から目を背けた。

「...無理だろ」
「ああ、無理だろうな。どうせ神が天罰とか言いながら暴れる。そして、俺たちは虫けらのように死ぬんだろうな」

 当然のように出てきた言葉に、怒りが湧く。どうせ力だ。強いものが弱いものを支配する。誰を気遣う優しさなど無駄の局長。弱いものに手を出すのは無駄どころか自らの足を引っ張ること。善人は否定され、悪人は肯定される。それが現実。それがこの世界。

「じゃあ...!もう何もしない方がいい...戦ったって、努力したって...」
「けど、希望はある」

 そう思った自分に、翔太郎は先程までと同じように、まるで当然のように希望という単語を出した。
 ありえないとかではない。先程までの言い方と反対のことを言っていたからだ。そしてそれがスラスラと出てくるのがありえないと思った。

「...!?」
「先輩の師匠が作ったシステム。この世界にいる人類に大し、祝福を授けた。魔術回路に魔術適正。神代とまではいかなくともまぁ超人と言える力を持てるようにな。そしてその祝福を受けた結果かこの世界のカウンターとなるサーヴァントのマスターにもなれる。だからまぁ、なんだ。負け戦じゃないことは、決まった」

 何を言っているのかその時は全くわからなかった。後ほどわかったのは抑止力という人類や星の生存本能から召喚さ
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