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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-捌-
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無い。そして理解することが出来なければ変えることも出来ない。
「だとしても。彼らに手を差し伸べることをやめていいわけじゃない。たとえ綺麗事でも、実現したいから手を伸ばすんだ。やっぱり綺麗事が一番いいからね。だから綺麗事って言うんだろ?」
しかし、それでも彼の答えは変わらない。頑固と言うべきか、それともそれを優しさと見るべきか。分からない。
「──わかりました。その代わり今日中に済ませますよ。早く帰らないと美鈴が泣き喚きますから」
「ははっ、違いない。泣かせたら許さないって言った後に泣かせたら兄貴失格だ」
ははっ、と楽しそうに笑いながら翔太郎との会話を終わらせた深澤はその空間の中心に立つ。
ベディヴィエールは牛若丸のマスターだった男を抱えて部屋の隅に、翔太郎がその後をゆっくりと歩いて着いていく。
「では、ここにいる者達に告げる!諸君らは自由だ!この秩序の欠けらも無い混沌とした世界にたった一人、取り残される形ではあるが、諸君らは自由を勝ち取った!勿論これから何をするのかは諸君らの自由意志を尊重する。混沌とした世界を好き勝手に生きるもよし、絶望してその命を断つのも、この場合は仕方ないだろう」
深澤の声はまるで政治家の演説のように、空間に響いた。意識がある誰しもが彼の方を振り向き、黙ってその話を聞く程に彼はその空間を文字通り《支配》した。
先程まで牛若丸だったマスターすら、深澤の声に耳を預けている。
「しかしっ!もし、この世界に秩序を取り戻したいというのなら!諸君らの自由を捧げてでも、救いたいものがあるというのなら。我々に協力して欲しい!」
深澤が唾を飲み込むような仕草をした後により一層大きい声を張り上げる。
その内容は本来なら許されるべきではない発言だ。当然、周りからは戸惑いの様子が見て取れる。サーヴァントを持たない人間を使って出来ることなど盾扱いぐらいだろうと、戦略も知らなければ戦闘力のない人間が思うのは当然の事だったからだ。
実際その時の自分もそう思った。
しかし隣に気配を感じてそちらを向くとその考えが消え失せた。そこには、翔太郎が立っていた。翔太郎はこちらが気付いた事に気付くと腰を下ろして胡座をかく。そしてポツリポツリと文句のように言った。
「この世界はな、神に支配されたんだよ」
「神?」
「ああ、普通の人間じゃ勝負にもならない。神様にな。アンタはマスターが偉くて世界を牛耳っているって思ってたんだろ?ああ、間違いはないさ。俺みたいな
化け物
(
最強
)
は置いといてサーヴァントに勝てるやつなんて居ない。だから、サーヴァントを使えるマスターが好き勝手するようになるのもある意味自然だ」
力を持った人間の行き着く先などたかが知れている、と彼は付け加えながら言った。
力を持
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