暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第197話:凍てつく極地にて
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顕著なのは恐竜が生息していた時代だろう。あの時代は今に比べて酸素濃度も高く、地球全体の気温も今よりずっと高かった。近年地球温暖化が騒がれているが、太古の恐竜時代に比べれば現代はずっと涼しい時代と言えるだろう。
 とは言え、その涼しい時代に適応した現代社会にとって環境の変動はただ事では済まされないのも事実であるが。

「まさか、氷の下から何かが出てきたって訳じゃないよな?」
「そんなクリス、モンスターパニックとかの映画じゃないんだから」

 そんな話を聞いたからか、クリスが冗談交じりにそんな事を呟き透がそれに笑って答える。本人達は本当に冗談のつもりで言ったのだが、しかし了子から返ってきたのはそのまさかであった。

「残念ながら、そのまさかなのよね〜」
「え……嘘?」
「マジか?」

 まさかの展開に、クリスと透だけでなく颯人達も目を丸くする。驚く彼らを納得させるべく、あおいが正面のモニターにある写真を映し出した。
 それは尻尾の先端の毒針が赤く染まった、氷漬けの黒いサソリであった。

「先日、ボストーク観測基地の近くで発見されたのが、この氷漬けのサソリです」
「照合の結果、数千年前の中東周辺に存在していた種と判明。現在では絶滅していると聞いています」

 モニターに映るサソリは氷漬けとは言え随分と保存状態が良いように見える。南極の氷の中にサソリが居たと言うだけでも驚きなのに、それがとっくの昔に絶滅した中東に居る筈の種であると言う事がこの事態の不可解さを助長していた。

「何故、そんなものが南極に?」
「詳細は目下調査中……ですが、額面通りに受け止めるなら、先史文明期に何らかの方法で中東より持ち込まれたのではないでしょうか」

 あおいの出した結論に、誰もが思わず閉口し難しい顔になる。そんな中で真っ先に口を開いたのはこの男であった。

「そういや、ボストーク湖って言えば、嘘か誠かロシアの調査チームが氷の下で怪物に襲われた……なんて都市伝説もあったよな?」
「あ〜、あったわねそんな話。ロシア当局はその説を否定してるけれど……」
「事実は異なるのでしょうね。少なくとも、調査チームは確実に何かと遭遇しそして犠牲者も出した。ただ、それを公にすれば確実に混乱を招くでしょうから隠蔽したと言ったところかしら」

 それはつまり、やはりあの氷の大地の下には何かがあると言う事の証左でもあった。

 話がちょっぴりオカルト方向に動こうとしているのを察したからか、壁に寄りかかって話を聞いていた輝彦が彼らを窘めた。

「サンジェルマン、結論から話してくれ。アダムは南極のその地点を調べてどうしようとしていたんだ?」

 輝彦の言葉に、話が脱線しつつあることに気付きサンジェルマンは小さく咳払いをして気を取り直すと本題を切
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