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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
自由惑星同盟の最も長い3カ月
ロボス元帥は機動を試みる
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を交わし、主賓たちはホールへと向かう。

「・・‥‥同盟市民の団結、アルレスハイムと同盟構成邦間の緊密な連携はこれからより重要になるだろう。私たちは、亡命者のみなさまのこれまでの貢献に感謝するとともに、引き続き団結して国難を乗り越えるための団結を求める。そしてなによりも、皆と共にこの節目を迎えたことを喜ばしく思う」
 マリアンヌはゆったりと亡命者たちを眺める。頭を下げることはない。ハイネセンポリスの同盟議会であれば頭を下げることもあるだろう。構成邦の元首同士であれば相手が下げれば下げる。だが、この亡命者政治連盟において彼女が――否。マリアンヌ・フォン・”ゴールデンバウム”が頭を下げることはけしてない
 敬礼する者、万歳を唱える者、拍手をするもの、思い思いのやり方であるが、彼らは賛意を示していた。
 マリアンヌは司会に頷くとゆっくりと壇上を降りる。ロボス元帥は彼女に敬礼を捧げ、そして司会の声を待つ。
「それでは!ラザール・ロボス元帥に来賓を代表してご挨拶を!ようこそいらっしゃいました」
 ラザール・ロボスは壇上に立った。彼は直系の亡命者系ではない。彼の母は亡命者であった。彼はこの地で育ち、何より武勲が彼をここに受け入れさせた。
「皆さん、おめでとうございます。私はただ一介の武弁として同盟軍という組織が皆さまの安全保障の実現に大きな成果をあげたことを誇りに思います」
 無難なあいさつだ、と皆が思った。だがそうはいかない。”ラザール親爺”は機動戦術を愛する。常に子飼いの部下を信任し、幕僚と中堅指揮官に委任をし、そして想定外のところから攻めたてることで彼は元帥まで登り詰めてきた。
「自由惑星同盟も、同盟宇宙軍も長きに渡る侵攻により傷ついています。それでも、今も精強に皆さんを守るために存在します」
 観衆たちはざわつき始めた。この元帥は何か意図をもって艦隊が傷ついていることを認めたのだ。
「人材の不足、特に下士官、兵士の確保、そして民生への負担について多くの方が不安を抱いていることは存じております」
 アルレスハイムだけでない、パランティア、エル・ファシルの地方財界人、構成邦議員たち、それにエルゴンから来た同盟政府出先機関の役人たちすらもこちらを見ている
「あえて申し上げます。私どもはそれを否定しません。我々は国内状況の変化と国民の身命・財産の防衛の在り方を検討します。軍は健全な社会に属する健康な市民がいてこそ成立するのです!」
 
「艦隊総司令部は常に帝国の情報を収集し、そしてその上で議会・政府へ助言を行い、その判断に従うでしょう。それこそが自由惑星同盟の軍隊に通底する理念であります」
 何かを断定したわけではない。道理を再確認しただけだ。しかし、【艦隊司令長官を務める元帥が道理を確認する】ことを何かを仄めかしていると判断しない者
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