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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
自由惑星同盟の最も長い3カ月
ロボス元帥は機動を試みる
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った脱力感がある。いやまあ、頭ではわかっている。宇宙軍が無ければ星間移動はない。同盟地上軍はイゼルローン要塞攻略の拠点確保や要塞への資源供給網への攻撃が主であった。
 攻略や防衛に投ずる星間機動戦力の兵站を守る事こそがこの30年近く固定化した戦略状況における、地上軍の主たる役割であった。
 それでも合意を形成する必要がある。いずれにせよ船がなければ地上軍が同盟全土に展開することすらできない。宇宙軍こそが同盟軍を同盟軍たらしめるのは現実である。ギュルセルは溜息をついた。
「いいですか、地上軍”も”軍縮は不可避であることは理解しています。ですが物事には程度というものがある。軍内の発言権を恣意的に変更し、人事権を猟官化するために軍制改革を急進化させるのは問題でしょう。ニーズがあるのは星間流通を担う人材であるだろうに」
「ご指摘の通りです。故に此度の案は宇宙軍の総意ではないと御理解いただきたい」
 ギュルセルは微笑んでグリーンヒルに握手を返す。
「総参謀長、我々はともに軍人です。であるからには共通する点も多い」
 グリーンヒルは内心ほっと一息ついた。だがギュルセルは地上軍総監であり軍官僚であり政治プレイヤーとして相応しいと地上軍から選ばれた男である。
「――例えば信頼について、です。我々は常に厳しい実践を積み重ね、それでもなお共に戦うモノを常に好むものです。違いますかな?」
 グリーンヒルは一瞬、硬直した後に力強く腕を振った。
 ――ええもちろんです、ギュルセル総監



 亡命者系同盟市民の総本山、アルレスハイム王冠共和国が首都ヴァルシャワの迎賓館の一室。そこにラザール・ロボス元帥は腰を沈めていた。艦隊司令長官、軍のナンバー2である彼が交戦星域に帝国軍と争うためでなく訪問するのは実に数年ぶりである。
 彼がここにいるのは、オリオン腕亡命市民政互助協会によるイゼルローン要塞陥落を祝う祝賀会に参加するためだ。帝冠の守護者‥‥アルレスハイム統領、マリアンヌ・フォン・ゴールデンバウムが参加する。
 ロボスの政治工作は、まず至上目的としてシトレが他派閥を一掃しようとしている人事案を粉砕することだ!そしてトリューニヒトと妥協し逆にこちらが次の人事案の主導権を握るためには『玉』を手に入れる必要がある。
亡命者に対して欠片も権限を持たず・・‥‥そのくせ計り知れない影響力を持つ彼女を!当然ながらこれには危険が伴う。道理から外れ、政局をもって下克上を試みていると思われた場合は――軍歴を汚し、行き場を失うことになるだろう。
 ロボスは不機嫌そうに唸り声をあげる。古株の副官ならば「シトレの馬鹿者め!まさかあそこまで『辣腕』と振る舞うことに惹かれるとは!!」と怒声を必死にかみ砕いて飲み下そうとする姿を読み取れたかもしれない。
 これは大博打だ。勝
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