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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
自由惑星同盟の最も長い3カ月
ロボス元帥は機動を試みる
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自由惑星同盟の最高軍令機関は政治的内紛があっても業務を止めてはならない。彼らの上位者は議員達であり、遺憾な事ながらこの内紛はシトレ派・ロボス派・そして地上軍(地上軍と後方勤務員を基盤とするトリューニヒト派は静観に徹している)と軍というコップの中で起きているものである以上、血を流さぬように終わらせねばならない。
故にD・グリーンヒル艦隊総司令部総参謀長は、彼と対話をせねばならなかった。
「ギュルセル地上軍総監殿」
声をかけられた疲れた温和そうな顔つきの初老の男性が振り返る。彼の職責の正式名称は地上軍幕僚総監、地上軍統括管理や防衛計画の策定が任務である。
地上軍といっても陸海空軍を総括する(とはいえ海軍の影は薄く、空軍は宇宙軍の単座戦闘艇のように航続距離が非常に長い物が多く、地上軍航空隊兼防空軍といった方が正しいだろう)もので要するに惑星内の軍とってもいい。
「これはこれは、グリーンヒル総参謀長殿、どうも最近は互いに部内の騒々しさに振り回されておりますな」
どちらも統合作戦本部の次長を兼任している。本来的には2人は同格である――実態は異なれども。実際のところ、自由惑星同盟の首席は統合作戦本部長であることは疑いの余地はない。だがナンバー2は宇宙艦隊司令長官であり、ナンバー3・4は艦隊総参謀長と統合作戦本部事務総長が争い、地上軍を束ねる幕僚総監はナンバー5から動くことはない。
ならば無力、弱体かというと当然そのようなわけもない。地上軍は、侵攻時には星系拠点の防衛や要所となる施設と住民を保護する。そのため駐留も居住区である。宇宙軍が宇宙軍は宇宙港から宇宙港へ星系間を行き来する「同盟軍の顔」なら、地上軍は「同盟軍の舌」である。
特に構成邦軍への影響力が高く、国防委員会防衛部は珍しく地上軍の将校が宇宙軍を上回る数が配置されている。(輸送艦を除く星系間機動戦力を持つ構成邦軍はそれこそ交戦星域の最有力構成邦のパランティア連合国などごく少数にとどまる)。
「地上軍総監部の御懸念は承知しております」
グリーンヒルの丁重な言葉を受け、ギュルセルの顔に苦いものが走った。
「軍の成り立ちからして地上軍はいつだって日陰者だよ、君。憲兵隊が一番の花型だよ」(始まりは数千隻程度とはいえ)宇宙軍こそが同盟軍であり、産声を上げたばかりの同盟政府にとって唯一の法執行力だった。実際は海賊や企業傭兵の討伐と構成邦間の紛争や植民競争の調停のための抜かずの宝刀であり対外戦争はダゴン星域会戦まではなかたとしても、だ。
「宇宙軍の兵站は地上軍の活躍があればこそです。構成邦にとってはより地上軍の貢献は見知っているでしょう」
ギュルセルは苦笑いを浮かべるだけだった。グリーンヒルが気を使っているのも本心から褒め称えていることも分かる。
だが地上軍からすると苦いものが混じ
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