【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第5章】第二次調査隊の艦内生活、初日の様子。
【第4節】陸士ら全員が談話室に集合。
[6/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ちろん、相談の内容は部屋割りの件なのですが、何しろ相手は自分たちよりも「ずっと目上の存在」ですから、まさか馬鹿正直に、面と向かって『あなたたちの隣では、私たちの方が安眠できそうにないので』などと言う訳にもいきません。
そこで、二人は「あからさまな嘘」にはならない範囲内で、少しばかり事実を誇張して理由づけをしました。要するに、『私たちは二人ともイビキが激しいので、同室は御迷惑だろうと思う』という、思いっきり下手に出た言い方です。
しかし、コニィはそこで、慎重にもこう言葉を返しました。
「交代すること自体は、別に構いませんが……そうなると、問題は『他の四人が、本当にあなたたち二人よりも静かなのかどうか?』ということですねえ」
そう言って、ゼルフィとノーラとカナタとツバサを、今から尋問でもするかのような鋭い目つきで睨みつけます。
その眼光に、ゼルフィとノーラはあっさりと日和りました。(笑)
ゼルフィ「いやあ。自分ではよく解らないんですが、私たち二人は、随分と寝言がやかましいそうですよ」
ノーラ「恥ずかしながら、結構ベラベラと喋ってるみたいですね〜」
コニィ「なるほど。それなら、なまじ意味のある寝言よりは、ただのイビキの方がまだマシかも知れませんね。声量にもよりますが、要は、単なるノイズな訳ですから」
マチュレア《この裏切り者〜。》
ゼルフィ《いや。別に、最初から何も約束なんてしてないし。》
そして、ツバサは、マチュレアとフォデッサの「助けを求めるような視線」を浴びながらも、冷静にただ事実のみを語りました。
「えっと。私はともかくとして、カナタは相当に寝相が悪いですよ。昔、祖母の家で昼寝をしていた時の話ですが、『目を覚ましたら隣の部屋にいた』ということもあったぐらいですから」
「ちょっと待って! 隣の部屋って、それはもう寝相じゃなくて、夢遊病か何かなんじゃないの?」
ゼルフィの何やら狼狽えたような声を聞いて、ツバサも今の言い方がかなり拙かったことに気がつき、慌ててこう言葉を足しました。
「いえ。隣の部屋と言っても、二間続きの和室で……。ところで、『ワシツ』って、解りますか?」
ヴィクトーリアとコニィと四人の女性陸士たちは、揃って首を横に振ります。
「何か映像でもあれば、説明も簡単にできるのですが……」
ツバサが少し困っていると、思わぬところから「助け舟」が来ました。
「横から失礼するよ。『ワシツ』って、こういう部屋のことだろう?」
ジョスカナルザードが不意にこちらのテーブルにやって来て、自分のデバイスで奥の壁に「二間続きの和室」の映像を大写しにします。
それは、東側の八畳間の北東の角
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ