第六十五話 塔の空気その十二
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「ええな」
「わかったわ」
中里は確かな声で答えた。
「そうして戦おうな」
「全員でな」
「そうしよな」
中里は芥川の言葉に頷いた、そうしてだった。
十人で芥川の言う通りに戦った、それで苦戦したが福沢が刀を鞘に収める時を狙って集中攻撃を浴びせる様なこともしてだった。
彼に勝った、すると神霊は笑って言った。
「よし、通ってええで」
「ほな」
「ああ、先に行くんや」
綾乃に言うのだった。
「是非な」
「そうさせてもらいます」
「それでな」
福沢はさらに言った。
「美味いもんもな」
「食べることですね」
「それも大事や」
「先に進むには」
「塾の飯も美味ないとな」
「慶応の」
「そのことも考えてたしな」
こう話すのだった。
「自分等もな」
「美味しいものを食べることですか」
「そや」
まさにというのだ。
「それで頑張ってくんや」
「この塔も」
「そや、ええな」
「わかりました、しかし福沢さんってほんま堅苦しいことないですね」
綾乃は福沢と話してつくづく思って言った。
「かなり気さくで砕けててね」
「世の中の人はどう思ってるか知らんが」
福沢本人が答えた。
「わしはこうした人間や」
「そうですか」
「そのことを了承してくれたらな」
「ええんですね」
「そや、ほなわしもこれから美味いもん食う」
「何食べます?」
「そやな、現代風にカルボナーラなんかええな」
笑って言うのだった、ここでも。
「あれはめっちゃ美味いわ」
「福沢さんが人やった頃はなかったですね」
「スパゲティ自体がほぼな、オリーブオイルかてな」
「なかったですね」
「それがこっちの世界でも使ってるな」
「十星連合やと」
「ふんだんにな、そこに生クリームとベーコンにな」
それにというのだ。
「生卵の黄身、ブラックペパーも入れてついでに大蒜もな」
「入れた」
「それをや」
「これから食べますか」
「そうしよか、わしもそうするし」
それでというのだ。
「自分等もな」
「はい、そうします」
「そういうことでな」
「先にですね」
「上の階に進むんや」
「そうします」
綾乃も答えた、そしてだった。
一同は下の階に戻ってそこで宿屋で一泊して体力と気力を回復させた、それから上に行くと見送った福沢にカルボナーラ美味かったと笑顔で言われた、一行はその言葉を受けて今度は自分達も食べようかと話したのだった。
第六十五話 完
2024・3・8
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