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第百二十五話 応援その十四

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「もの落とすこと多いのよ」
「そんなの気のせいでしょ」
「そうなの?」
「そうでしょ、ジンクスってやつよね」
 留奈は要するにという口調で言った。
「それはね」
「気にしないことね」
「ジンクスは絶対じゃないから」
「そこは気にしないで」
「何ならゲン担ぎしたらいいでしょ」
 ジンクスがあるならというのだ。
「そうでしょ」
「それもそうね」
「あんたのね」
「じゃあどうしようかしら」
「あんたにそういうのない?何かしたらよくなるとか」
「ええと、入試の時お守り首に下げてたわ」
 こう留奈に答えた。
「そうしてたわ」
「だったらね」
 それならというのだった。
「お守りしたらいいでしょ」
「そうなのね」
「ええ、そうしたら?」
「そうね、それじゃあ」
 留奈に言われてだった、かな恵は。
 懐からお守りを出した、それを首から下げて体操服の襟首のところから中に入れた。そうして言うのだった。
「こうしてね」
「走るのね」
「競技に出るわ」
「それで落とさなかったらいいわね」
「うん、行ってくるわね」
「頑張ってね、ただね」
 ここでだ、留奈はかな恵に尋ねた。
「あんたショーツ白よね」
「それで言ってるの」
「上は?」
「お揃いは基本でしょ」
 これがかな恵の返事だった。
「下着は」
「ブラも白ね」
「セットのね」
「やっぱりそうよね」
「バラバラも着られるけれど」
「お洒落考えたらね」
「見えないところのね」 
 そうすればというのだ。
「もうね」
「それしかないわね」
「ええ、それでね」
「ブラ白なのね」
「そう、それでね」
 そのうえでというのだ。
「揃えてるわ」
「やっぱりそれは基本ね」
「ええ、それじゃあね」
「競技行って来るわね」
「これからね」 
 留奈に明るく笑って言った、そして順位こそいいものでなかったがスプーンの中のボールを落とすことなく完走出来てお守りに感謝したのだった。


第百二十五話   完


                   2024・3・8
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