【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第5章】第二次調査隊の艦内生活、初日の様子。
【第3節】八神家、秘密の内部事情。
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う憶えていないのか」
ミカゲ「何の話デスか?」
ヴィータ「十二年前の秋、あたしらが非合法の研究施設をブッ潰して、初めてお前を保護した時のことなんだが、同時に、訳の解らねえ『違法プログラム』も幾つか押収されてなあ。よく調べてみたら、それがあたしら守護騎士に『強化プログラム』として使えそうな代物だったのさ」
アギト「それで、姉御たち四人に、それぞれ良さげなヤツがインストールされたのが……次の年の夏のことだったっけ?」
ヴィータ「ああ。今にして思えば、シャマルはそれまでずっと、味覚センサーや口内の圧力センサーに若干のバグを抱えていたんだよ。それで、料理の味付けや固さの加減が微妙に異常しかったのさ」
シグナム「新暦84年の夏に専用の『強化プログラム』を導入して、そのバグが修正されてからは、お前もよく知ってのとおりだ」
実際のところ、今ではもうシャマルの料理の腕前は、はやてと比べても『ほとんど遜色が無い』と言って良いほどのモノになっています。
一方、ミカゲはかつて某管理外世界の「あからさまに違法な魔導研究施設」で長らく囚われの身となっており、そこで『保護された記憶まで何割かを強引に消去されてしまう』など、相当な虐待を受けていました。そのため、八神家によって救出・保護された後の「丸2年ほどの具体的な記憶」は、彼女の「深層メモリー」を充分な深さにまで埋め戻すために使われてしまいました。人間で言えば、乳幼児期の記憶のように「無意識の奥底」へと沈んでしまったのです。
結果として、ミカゲが現在、明瞭に思い出すことができるのは、新暦85年の「お引っ越し」以降の、ここ九年半ほどの事に限られていました。
【ユニゾンデバイスの深層メモリーについては、「プロローグ 第6章 第6節」の後半を御参照ください。】
そして、四人は麻雀を続けながらも、さらにこんな会話をしました。
「じゃあ、シャマル姉さんは、例の〈マルチタスク〉も、その強化プログラムのおかげなんデスか?」
「ああ。ただし、同じ用語でも、普通の人間が言う『マルチタスク』は、単なる『ながら』の延長だからな。無理に二つの作業を同時に進めても、現実には、単位時間あたりのストレス量が下がるだけで、作業効率そのものはロクに上がらねえ。普通の人間は、おとなしく『目の前の一つ一つの作業』に集中していた方が良いんだよ。
まあ、空士のような『高速思考』のスキルを持つ魔導師なら、効率を下げずに幾つかの作業を同時に進めることもできるんだが、それはただ単に、脳の各部位の『スキマ時間』を埋めていく形で細かく作業を割り振って、脳全体を休ませずに働かせ続けているだけのことだ。しばらく続けると、必ず頭が痛くなって来る。
ヴィヴィ
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