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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-漆-
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というよりそれが当然のような振る舞い。しかしそれも仕方ないだろう。男からすれば自分たちは全て道具なのだから。
「俺はそこらのマスターとは違うんだ。本物のマスター、選ばれた人類。そんな俺が、何故お前を勝たせなければならない?」
その言葉を少し遠くで聞いて、理解した。
この世界はとても不平等で、不条理だと。ただゲームをやっていた。そのゲームを楽しんでいた。ただそれだけでこの世界での生存権を得る。
サーヴァントを持たない人間はサーヴァントを持つ人間に支配され、道具として扱われるか気狂いになって暴れるしかない。
「殺してやる...」
心の底から湧き上がる怒り。この世界に対する怒りと世界中のマスターとサーヴァントに対する怒り。
サーヴァントがなんだ。マスターがなんだ。ただ棚ぼたとして得たもので王のように振る舞い、それが正当化される。許せなかった。少なくとも少年に非はない。目の前で両親の殺し合いを見せつけられ、戦わされ、勝てたと思ったら卑怯な手で痛めつけられる程のことをしていない。自分だってそうだ。何もしていない。ただ、サーヴァントに愛を持っていなかっただけ。Fateなんてものを知らずに、普通に生きていただけ。
それだけで弱者にさせられ、殺される。そんな道理が許せない。こんな世界は間違っている。サーヴァントが力で支配する世界など、このまま壊れてしまえばいい。
「お前らは、悪魔だ。悪魔は、一匹残らず...」
サーヴァントなんて悪魔と同じ。いや、それ以上に卑劣で、残虐で、悪に染まったものだ。そんなものを見せつけられて我慢出来るはずがない。
「俺が殺してやる!」
この世からサーヴァントを一匹残らず殺す。そんな宣言が口からスルスルと滑り出した。怒りに身を任せて放った咆哮。一体でも勝てないのに、そんなこと出来るはずが無い。そんなことは分かりきっている。
1番近くにいた牛若丸がこちらを振り向く。刀を引きずるようにこちらにゆっくりと歩み寄ってくる。逃げない、逃げられない。どれだけ逃げようとしてもどうせ追いつかれる。それが牛若丸にもわかっているのでゆっくりと歩く。その距離が自分の残りの人生だと、感じさせるように。
一歩。下駄が地面にあたり、音を立てる。
二歩。刀が一瞬だけ地面にあたり、火花を立てて地面が切れる。
三歩。もう至近距離と言えるほどまで近づかれた。牛若丸が刀を上に掲げる。振り下ろせば終わり。
少年も横たわり、他の化け物も殺しされている。そもそもこんなことが出来るなら元々自分たちを化け物にする必要も攫ってくる必要も無い。つまり道具としての用途すら自分たちには求められていなかった。ただ支配欲を満たすための道具。自分はこれだけの化け物を従えているという充実感を得るために自分達は使われたのだ
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