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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-漆-
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在に勝った。それだけで化け物達は大喜びしていた。そのほとんどが人の形を保っていないものだったが、その時だけ彼らが普通の人間に見えた。
少年がぐちゃぐちゃになった腕を抱えるように持って男に近づく。サーヴァントがいないマスターは少年からすれば餌にすぎない。
「文句、あるか」
少年の目は今からでもお前を殺してやろうかと言っているように鋭く、力強く男を見ていた。状況が反転した。少年が腕を振るえば男は頭と胴体が別れるだろう。しかし男が何をしても少年には傷一つつかない。殺すなんて以ての外だ。そんな男を守るサーヴァントはもう男のところにはいない。
だから本来なら男が怯えているはず。だと言うのにその男は口の端を吊り上げる。少年が恐ろしくないように感じられる。というより恐ろしい、恐ろしくないではなく、それどころかまるで少年の勝利を嘲笑うように感じられた。
「いいや、無いよ。だから...死ね」
「えっ...」
男がそう言った瞬間、少年の両脚が切り捨てられた。当然立てなくなった少年は地面に伏せるように倒れる。そして追撃の一撃が腹を貫いた。
それと連動するように悲鳴が聞こえた。その方向を見ると人から化け物にされた者たちの何人かが切り捨てられていた。
そこに居たのは先程までと全く変わらない、傷ひとつないサーヴァントの姿。その頃は全くわからなかったが今なら理解出来る。
そのサーヴァントの真名は牛若丸。源義経の幼名である、何故か女性にされているライダークラスのサーヴァント。それだけなら普通だ。他のマスター達とおなじ、運良くサーヴァントを召喚する、もしくは運良くサーヴァントがこの世界に来て契約したマスター。普通のマスターとサーヴァント。それだけでももちろん脅威だが、その驚異を超える恐ろしさがそこにはあった。
それが牛若丸のマスターが持っている物。そう。聖杯だ。それに溜まっているのはケイオスタイドに似ているサーヴァントの霊基を汚染するもの。彼女達はそれを愛と呼ぶ。実際そこまで間違っていないだろう。彼女達は愛ゆえに狂い、英雄の誇りを投げ捨ててしまったのだから。その牛若丸はかつてゲームで敵として出てきたらしい姿である黒い肌に赤い筋が入った身体をしている。その何よりの特徴は「個体増殖」のスキルが付け加えられていることだろう。そのスキルは《《指の一本、髪の一筋があればそこから新しい牛若丸として増殖する》》ことにある。つまり、少年がいくら牛若丸の頭を飛ばそうと体を切り分けようと牛若丸は増殖する。化け物達を切ったのも増殖した牛若丸だ。
最初から、勝ち目なんてない。そんな分かりきっていたことから、目を背けていた。
「なん、で...」
そんなことを知らない少年が今にも力尽きそうな声と瞳で男を見る。すると男は少年の顔を蹴る。余裕、
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