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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-漆-
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に背後から禍々しい煙が一瞬だけ吹き出す。少年の身体に刻み込まれた特級の呪い。それが少年の怒りに反応していると気付くのは後ほどのことだ。
「返せ?何を言っている。お前たちは主殿の奴隷として扱われていることに喜びを感じるべきだ。主殿こそ私、いや私達が愛する最高の人。その愛の為の犠牲になることなど喜び以外なんと言える?」
「おまえ、タチィっ、ワァ!」
サーヴァントの言葉に少年の堪忍袋の緒が切れた。全身の穴から黒紫色の煙のようなものが出てきては少年の身体を包む。
それを見た男が顔を歪める
「いいぞ!やれ!牛若!」
「はははは!!」
サーヴァントが弾かれたように少年の方まで飛ぶ。その速度は銃弾すらも超える速度、その頃の自分では目で追うどころか視認することすら出来なかった速度の攻撃。それが少年まで飛ぶ。普通ならそのまま切られるだけ、少年の血飛沫が上がり、サーヴァントが笑う。そこまでがセットのように決まったことのはず、だった。
しかし次の瞬間瞳に映ったのは、少年の拳がサーヴァントの頭を確実に捉えて殴っている構図だった。サーヴァントの接近を見切って刀の攻撃を身を捻ることでかわして代わりに放たれた右のストレートがサーヴァントに当たっている。あまりの速度で少年の拳は指が吹き飛び、形状そのものが潰れたような形になっている。
少年の目は酷く充血した状態で大きく見開かれている。とても10歳程度の子供の表情には見えない。
「は?」
殴られたサーヴァントの頭が飛ぶ。追随しようとした身体が速度に追いつけず、首が離れる。力を失った身体が地面に落ちてそこからゆっくりとした速度で血が流れて血溜まりが形成される。
頭だった物は中身をぶちまけながら男の横を通ってその先の壁にぶつかる。割れた水風船のように中身が壁に貼り付けられるようにぶつかり、そこから重力に負けた部位が滴り落ちる。
「ぐ、うぐっ...」
少年の腕も骨が複雑骨折して皮膚から飛び出るなど非常に痛々しいものになっているがそれでも少年は痛みに耐えるように口をつぐみながら悶絶しているだけで命に別状はない。
その様子を周りの化け物たちはポカンとしながら眺めていた。勿論自分も開いた口が塞がらないほどに驚いていた。確かにサーヴァントが勝つぐらいなら少年が勝って欲しいという希望があったと言えばその通りだ。しかしそんなことがありえないことということを知っていた。サーヴァントという存在が何者かということはその頃は全く知らなかったが、人は勿論、化け物では勝負にもならないほど強い何か、ということはわかっていたのでその時の衝撃は頭を鈍器で殴られたような感覚があった。
化け物達が声を上げる。勝利の歓声、と言うべきものだろう。今まで自分たちを体のいい道具、奴隷として扱っていた存
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