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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-漆-
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化け物はもうどちらがどちらかなんて分からないほど人の形を保っていなかったが、少年の口が動いているところを見ると少年には見分けがついたらしい。
そうして倒れた化け物が塵になると後ろで拍手の音が聞こえた。自分たちを奴隷にしたマスターだ片手には後に聖杯だと分かる黄金の器を持っている。
これは見せしめだ。自分に従わなければどうなるかというのを見せつけることで従わせている。
「やー、つまらなかったつまらなかった。餓鬼は騒ぐし、噛んで引っ掻いての繰り返し。もっと見応えのある勝負がないとつまらねぇな...よし、そこの餓鬼。牛若丸と殺しあえ。もし勝ったらそこの死体持って逃げてもいいぞ」
二人の夫婦の殺し合いをつまらないの一言で言い捨てたその男は押さえられている少年を見て頬を緩ませる。近くにいた一人のサーヴァントの頭を優しくポンポンと叩いて「殺しあえ」、と言った。
両親を失ったばかりの少年にかける言葉ではない、が彼からすれば少年は自分を裏切った奴隷なのでこの程度のことで心は痛まないのだろう。
「ほん、と?」
しかしその言葉が少年には希望に見えたのだろう。大人の嘘すら理解できない子どもだ。その言葉でやる気を出すのは当然なのかもしれない。いや、もしこれが嘘だとわかっていたとしてもこれを受けるしかない。この戦いでサーヴァントを倒せればもしかしたら逃げられるかもしれない。そう思っていてもおかしくはない。とはいえ、戦ったところで勝負にはならないだろう。確かに少年の適性は高いがサーヴァントと勝負できるほど強くはない。サーヴァントという存在がどれほど強いかということは嫌という程わかった。まるで悪魔だ。もしくは地獄の番人。人間がどれほど手を伸ばしても届かない高みから登ろうとするにんげんの手足を切り落としてくる存在。
「ああ。ほんとだホント。俺はウソをつかねぇよ。こんなくだらないことで」
嘘だ。そもそも勝たせる気なんて微塵もない。真正面から挑んでも切り捨てられる。百歩譲って奇跡が起こって勝てたとしてもその近くに屯っている同じサーヴァントに切り捨てられるだけだ。
ただのサンドバッグにされて《面白い戦い》とやらを見せつけられるだけだ。
「や、る」
先程まで泣いていたからだろう。枯れた声で少年は意志を表した。
「よぅしきた!牛若丸。遊んでやれ、殺さず生かさず。終わったら1番頑張ったやつに褒美をやろう」
「ありがとうございます!主殿!」
男が指を鳴らして牛若丸を呼んだ瞬間、少年は空中に打ち上げられた。腹を斬られたのだそして10mほど上がった瞬間にその場で待っていたサーヴァントに叩き落とされる。
たった二回。それだけの攻撃で少年はボロボロだった。両脚が切り捨てられ、腹から血の他に何かが漏れている。
「ぐっ、
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