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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-陸-
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った。多くの人が手錠をつけられている。その手錠は鎖と繋がっており、その鎖は壁に固定されている。
中には目隠しをされている人までいる。
「ここ、は...」
何がなんなのか訳が分からなかったので不意に口から言葉が出る。学校の理科室のような異様な臭いと手と足に感じる冷たい鉄の感触。その時初めて、自分が手枷と足枷をされていることに気付く。
「な、なんだよこれっ...おえっ、気持ち悪...」
目覚めることはなくもう死ぬ、と思っていたのに生きている上に救助された、という訳でもなく捕まっているという現実が信じられなくてその場で動こうとする。
とその瞬間、視界が一気に曇った。まるで磨りガラス越しにみた景色のように曇っていく。目に何かが刺さったような痛みと腹の中をかき乱されたような違和感に襲われてその場に倒れる。手足にも痺れが感じられる。
ストレスか何か...だとは思えない。恐らくあそこに何かしらのウイルスでも撒かれてその後に保護されたのだろう。だからこうやって動けなくなっているのだ。そう思ってその場でゆっくりと呼吸をして身体を落ち着かせながら横になる。
手枷足枷はつけられているものの、その場に寝ることぐらいは出来る。どうなるかは分からないが保護されたのだから大丈夫だ。そう思って横になる。というより、その時は、そう信じるしか無かった。そうだとしてもおかしいことなどその時からわかっていた。しかし、そう信じなくてはおかしくなってしまう。
だから寝ている間にも聞こえる悲鳴は、無視した。何も考えず、何も思わず。心を透明にして全てを見捨てた。
その時にはその悲鳴が怪物に襲われているものだけではないなんて、何一つ考えることも無く、ただ自分は安全だと言い聞かせて瞳を閉じる。しかし眠れない。眠れるわけが無い。聞こえないと心の中で念じて、何も考えないようにしても聞こえるものは聞こえるのだから。それを黙って耐える。なんの根拠もない安全に全てを預けてうずくまる。
いつまでそうしていただろう。1時間程度だった気もするし、一日以上だった気もする。
ジャラ、と悲鳴とは違う音が聞こえた。誰かが動いて鎖が動いた音、というのはわかったがその音が少し近すぎるように感じた。
何も考えずに目を開く。
そこは先程までと何も変わらない体育館のような建物の中。違うことと言えば先程まで自分と同じように縛り付けられていた人達がいなくなっている。代わりにその場所には赤黒い血溜まりがある。そして、何故か視点がとても高い。寝転んでいたはずなのに、と思った瞬間、足で立っていたことに気づく。そして、自分の手枷と足枷がいつの間にか粉々に砕けていた。
「...え?」
手枷と足枷の代わりなのか手足は血のプールに突っ込んだように真っ赤になっており、それが
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