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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-参-
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くださいっす。アタランテ、任せてもいいっすか?」

 彼の出した結論は自分たちを逃がすことだった。川本さんとは逆の、戦わせないという結論。何故、そんな結論に至ったのかは分かる。戦力としてこちらを信用出来ないのだ。
 そこまでは分かる。いきなり出会った人物を信用しろというのは難しい。しかしその結論を出した彼は迷いなく自分のサーヴァントに護衛を頼んだ。
 有り得ない。自分たちの護衛にサーヴァントをつければ自分の守りはどうする。サーヴァント無しであの廃工場に戻ると彼は言ったのだ。

「...え?」

 川本さんのように頼むと最初は思ってた。そのために自分たちを助けたのだと、最初は思った。しかし違う。彼らは自分を戦力として信用していない。それは仕方ないことかもしれない。自分たちも傭兵として戦っている人達より強い自信なんてない。けど、そのためにまるで死ぬような決断は流石に出来ない。

「...私は構わないがマスターは?まさか一人で」

 彼のサーヴァントであるアタランテは肩を落としたあと、彼に聞く。彼のサーヴァントがそう言っているということはこれが初めて、という訳では無いのだろう。何回かこんなことがあったのだ。自分のサーヴァントを置いて一人で依頼を成し遂げる傭兵。傭兵には何人か会ったことはあるがそれは有り得ない、経験のない事だった。

「ああ、川本っていう傭兵が心配だからな...ですからね。俺一人で侵入する、っすよ!」

 真木は親指を立ててこちらに大丈夫だという。他の仕事ならそれで、大丈夫かもしれない。しかし今回はそうとも行かない。話したはずだ。サーヴァント殺しがいるかもしれないという話を。サーヴァントを倒せる存在がいるとなるとマスターでは相手にならない。
 話した内容を忘れている、という訳では無い。彼は自分一人で解決する、と言ったのだ。サーヴァントを倒せる存在がいたとしても一人で何とかすると。意味がわからない。確かに真木は自分より強いだろうが、自分がサーヴァントより強いと豪語できるほどとは思えない。
 
「しかし!それは危険かと。まだ私たちを襲った何者かは見つかっていないんでしょう?」

 限界だ、というように紫式部が立ち上がって真木に抗議する。川本さんの言ったサーヴァント殺しは未だに姿を現していない。つまり情報が何も無いのだ。そもそもサーヴァントと人とでは差が大きすぎる。紫式部でも戦えないと言っているがそれでも大抵の人間には勝てる。それだけの強さがある。そんなサーヴァントを何体も倒しているという報告がある以上紫式部は黙ってはいられない。

「香子...」

 彼女は考えている。川本が死んでいるというシナリオを。そしてその場合次の犠牲者は真木だ。そして自分はそれをアタランテの退去という形で知ることになるだろう。サー
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