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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-弐-
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然だろう。
 もう少し彼女達に気付くのが早ければ話は違っていたかもしれないがその可能性を考える時間は必要ないだろう。

「礼ならマスターに言え。もうすぐ来るだろう
...そうだな。私の名前はアタランテ、というのは分かっていると思う」
「まぁ、はい」

 誠に不思議な話だが数ある平行世界で自分を召喚したマスターの記憶がこの世界のマスター達にある、という話をよく聞く。中にはその世界から召喚されたサーヴァントもいる、となればサーヴァント達がよくやるクラス名で真名を隠すという行動はほとんど意味が無い。

「私たちは...いや、もうすぐマスターが来る。話はそれからだな」

 とりあえずここまで来た理由と知っている情報があれば聞き出したいと思ったがそれはやめておいた。マスターがいない状態で聞いてもマスターに聞かせる時には念話ですることになる。戦闘中なら彼の集中力を乱すし、帰ってきてから纏めて話すとしても入れ違いが起こる可能性がある。マスターの方はともかくこちらには余裕がある。サーヴァントが二騎もいる場所にわざわざ仕掛けようと思うやつも少ない。マスターさえ戻ってこれば話はいつでも出来る。
 そう思って来た方向、退却してきたマスターが通るであろう道を見る。

「その...アタランテ、さん?」

 後ろから声をかけて振り向くともう一騎のサーヴァント、紫式部が立ち上がって一歩前に、こちらに寄っていた。
 それなりの警戒はしていても知りたいことがあるようだ。

「アタランテでいい。なんだ?」
「川本、という名前の方を御存知でしょうか。あたし達、一緒にここまで来たのですけれど」

 川本、という名前には覚えがある。勿論自分が知っているのとは別人だろうが、彼女達が探して呼んでいた名前だ。恐らく彼女達と共に来た傭兵。戦闘があったようには見えないため何かしらのトラップに引っかかってはぐれてしまったのだろう。トラップがあるなら歩き回るのも危険だが彼女達がそこまで戦場慣れしているとも思えない。
 となるとまだ中にいるかもしれないがあれほどはげしく戦闘して再び突っ込むのも危険だ。残念だが、マスターを待つしかない。

「はぐれたのか。なるほど...ん?ああ、マスター」

 そう思っていると噂をすればなんとやら、マスターが戻ってきた。髪は多少チリチリしているが怪我も見られない。
 同年代にしては少し高めの身長に恵まれた体格。似合わない迷彩服に緑のマント。少しトゲトゲした髪にピアスと少しチャラい雰囲気を出しているがそれは演技。実際はそれなりに落ち着いている紳士。

「急に申し訳ないっす。俺の名前は真木。エインヘリアルってところでマスターをやってるんすけど...そちらは?」

 真木祐介。数いるマスターたちの中でもエリート中のエリートの戦
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