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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-弐-
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のに行動に移さないということは、逃げたか。
そう思った瞬間、背中の方から光が漏れ出た。音もない一瞬。背中にあるのは大きな機械だ。爆風で倒れ、地面にめり込んでいるとはいえ、形だけは保っているのでかなりの強度があると踏んでいたのだが、それを簡単に切り裂かれた。
しかしこの瞬間こそ、自分が待ちわびていたものだった。
「決まった!」
拳銃の引き金を引く。名だたる英雄ほどではないが速射にはそれなりに自信がある。グレネードを投げるより相手を捉えやすく、そして速い。
相手の姿は見えない。しかし、当たった感覚が手の中にある。しかし相手がサーヴァントならこの程度では死なない。
「くらえっ!」
グレネードに指をかけて思いっきり相手の方向に投げる。引っかかった指が安全ピンを引き抜き、爆発。
切られた機械に隠れて爆風をやり過ごす。機械が少し動いた気がするが熱風を浴びることなく、耐えきった。
サーヴァントであろうとマトモに喰らえば怪我では済まない一撃だ。しかしマトモにくらったかどうかなんて確認はできない。
機械から飛び出て爆風のあった方向に拳銃を向けながら走る。しかしそこには何も無い。この空間もそこまで暗いわけではないが見えないものは何も見えない。
「...逃げたか」
血の痕があることから確実に当たってはいる。しかし上手く逃げられた。
手傷を負ってアタランテの方を追うほど相手も馬鹿ではないだろう。奇襲を狙うとしても相手は自分だ。
そしてそれすらも仕掛けてこない。どちらにしろ強襲用の装備をしている訳では無いのでここは退却するべきだ。
そう判断して奇襲を警戒しながら再び姿勢を低くして走り出した。
◇◇◇
廃工場から2人を抱えて飛び出す。2人とも最初は振りほどこうとしていたがいつの間にか諦めたようで素直に従っている。
「ここまで離れれば大丈夫だろう...おい、大丈夫か?」
抱えていた2人をその場に降ろす廃工場からはかなり離れているため、追っ手が来ることは無さそうだ。そもそも、追っ手が来たとしてもマスターが食い止めるのだろうが。
いや、そもそもだなんていうなら役割が逆だ。マスターが2人を抱えて逃げて自分が囮になるべきだった。サーヴァントは霊体化すれば撤退も簡単だがマスターは転移魔術などの使い手でもなければ走るしかない。決してマスターが遅いとか弱いとかそういうことは無いが、それでも心配なものは心配だ。
そう思いながらも降ろされた2人を見ると流石に警戒しているようですぐにこちらから距離をとる。
「な、何とか」
「えーっと、ありがとうございます、でいいんですか」
彼女達からしたら急に後方が爆発したと思ったら誘拐された、という話なので状況が掴めていないのは当
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