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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-壱-
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かの考えがあるとすると、無駄に触ったり、場所を移動すればここにいるとバレてしまう。
それでも倒せる敵なら兎も角、自分たちがここにいる理由を考えるとそんなに楽観的にもいられない。
「くっ!...」
アタランテが顔を顰めて拳をにぎりしめる。
感情ではその判断が許せないが理性ではこちらの判断が正しい、とわかっているからやるせない気持ちになっているのだ。
「ここに長居するのも危険っす。助けられる命がない以上、さっさと調査を終わらせて作戦を練りましょう。この子供にも、報いる為に」
この子供はもう助からないだろう。その事を悔いることもあるがそれより先にやるべきことがある。この廃工場は世界が崩壊した時に捨てられたものだ。つまり、崩壊前から廃工場だったものより見取り図の入手難易度が高くない。
適当に歩けばその辺に錆びたマップが張り付いている。勿論崩壊の影響で倒壊した建物があったり、地下室などを作られている可能性もあるがそこまで深く踏み込みすぎるとやはり相手にバレる。今回は名目上調査が目的で来たのだ。下手に踏み込む必要は無い。
そう、ここは多くの行方不明を出す神隠しと呼ばれる場所の1つだ。そしてその行方不明者の中には一般人は勿論、腕に覚えのある傭兵も含まれる。何より大切なのはその数を増やさないことと、自分たちがその仲間入りをしないことだ。
「許してくれ...」
アタランテもその事がわかっている。それでも助けられるのなら助けたいと思って伸ばした手を引っこめる。大切なのはこれ以上の犠牲を出さないこと。
すると不意にアタランテの耳がピクピク、と動く。何気に可愛らしい動きだがアタランテは即座に冷静になってこちらに振り向く。
「マスター」
「ああ。最悪の場合援軍を要請しよ...するっす」
彼女の決意は硬い。この子供を殺した存在を許さないという怒りを感じる。しかし今回の案件、そう一筋縄で行くかどうかも分からない。傭兵たちまで倒す存在となると確実にサーヴァントが居る。そのサーヴァントの役割と誰かによって難易度はかなり変わる。最悪の場合を考えるのなら、援軍を要請して力技で蹂躙することになるかもしれない。
そう思って返すとアタランテは急に罰の悪そうな表情をして小さく首を横に振る。
「いや、それもそうなんだが。近くに人がいる」
アタランテの言葉に拳銃を握り直す。近くに人、と言ったことはこの子供のように手遅れでないかもしれない。しかし子供の近くで話し込んだのがバレて探しに来た敵の可能性も考えられる。
緊張感が高まる。もし敵だったら撤退も視野に入れなければならない。しかし撤退した場合、今以上に防御が厚く、変更される。その場合今回の調査の大半が無駄になる。とはいえここで無理に出張っても勝てるかどうか分か
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