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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
【視点転換】帰還の為の免罪符-壱-
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。これを霊体化という。この世界では霊体化を基本的にしないサーヴァントの方が多いが彼らも決してしない訳では無い。する必要が無いだけだ。
女性は耳としっぽは獣的な見た目だが、それ以外は基本的な人と同じ体格をしている。少女とも言えるだろう。眼差しは獣のように鋭く、髪は無造作に伸ばされ、貴人の如き滑らかさは欠片も無いため一見すると粗野な女性に見える。名はアタランテ。ギリシャ神話のアルゴノーツの一人、狩猟の女神アルテミスの加護を授かって生まれた『純潔の狩人』。カリュドーンの猪の討伐、そこに繋がるメレアグロスの死、また勝ったものを夫とするかけっこの逸話等多くの逸話を残している英雄だ。
と、自分が思っているとはいざ知らず。彼女はそこに転がっている死体を見て目を細める。
「こんなに小さな子供を...許せん」
「あーいや、そうだな...そうッスね」
霊体化しているからと言って視界が封じられる訳では無いので実際自分が見るより先から見ていたはずだが、それでも声を出さなかったのは自分への配慮なのだろう。そのような優しさがあるとはいえ、基本的に弱肉強食。子供を除いて、だが。
アタランテは生まれた直後に捨てられ、アルテミスに拾われた過去を持つ。彼女の子供を気づかいはそこから発生するものだ。
「...しかし、マスターが言うように腐敗していないのは妙だ。ただ置かれているだけとはいえそれなりに状況は揃っている」
しかしアタランテも英雄だ。自分なりの考えと感性を持っている。冷静になればこうして相手の考えていることを読もうとするぐらいには優秀だ。
「そうだな...っすよね。わざわざ死んだ直後で保存して虫を放つなんて意味のわからないことをするもんだなって思ってたんすけど」
虫を放つのはそういう魔術だからか、もしくは死体が損壊していることを気付かれないようにする為か。
出来れば死体を詳しく調べたいがここでの解剖は困難だ。しかも自分が体の構造にそこまで詳しいという訳では無いので出来れば詳しい人の話を聞きたい。
「マスター、この子を埋葬してあげよう。いくらなんでも可哀想だ」
確かに困難コンクリートの上で放置では普通でも行き着く末はただの白骨死体だ。敵の狙いがそうではない可能性が高いとはいえ、最悪魂が囚われている可能性も有り得る。死んでしまったとはいえ、これ以上苦しめてもいい理由にはならない。
アタランテなりの気づかいで死んだ子供を埋葬する場所を探そうとしたのを手で制する。
「それもそうなんですけど...わざわざそんな足がつくことをしたらここにいるってバラしてるようなもんっすよ。残念ですけど...」
この子供がこうなっているのは相手に理由がある可能性が高い。それならそれでこんな場所に放置しているのは妙だが相手に何ら
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