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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
困憊するあたしは、奴らを逃がす
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「?????????!!!!!」
姦姦蛇螺が吠える。
凄まじい音量、そしてプレッシャー。
エリザベートのスーパーソニックにも匹敵しそうなそれはあたしと大和さんを簡単に吹き飛ばした。
「くっ…!!」
大和さんは少し離れた場所に何とか着地し、刀を突き立て耐える。
あたしはそのまま吹き飛ばされ、掴めるものも何も無く…
「葵様!!」
受け止めようとした香子に衝突。
勢いを殺しきれず香子はあたしごと倒れてしまった。
「お怪我は…!」
「ないよ。大丈夫。」
天然モノの超特大エアバッグに救われたのでとりあえずは無傷。
「…俺も武蔵にそう受け止めてもらえば良かったな。」
「な、何言って…っ!!」
「冗談だ。」
冗談を言いながらも刀を構え直し、大和さんは目の前の敵を睨む。
「にしても…」
蘆屋道満、森川真誉。
そして…
「何呼んでくれてんの…アイツ。」
姦姦蛇螺。
ネットを中心にして広まった怪異。
その正体は村を襲う人喰い大蛇の退治に乗り出すも、下半身を喰われ、さらには村人に裏切られ生贄に捧げられた巫女。
その恨みは身内を呪い殺し、村の人間もほとんど呪い殺した。
そんじょそこらの有象無象の怪異とは比べ物にならない化け物
呪う力は半端なものではないだろうし、それに
「??????ーーー!!!!!」
一瞬にして距離を詰めるほどの速さ。
その巨大な蛇の尾をうねらせまずは大和さんに襲い掛かる。
「ッ!!」
6本の腕からなる爪の連撃を捌ききり、一度距離を取るために後ろへステップ。
同時にもう一つの武器である散弾銃を手に取り、追い打ちを防ぐべく姦姦蛇螺に向けて乱射。
命中はしている。しかしダメージは通っているのかは分からない。
姦姦蛇螺は鬱陶しくその腕で弾丸を払い除け、嫌そうな顔をしている。
「斬るも撃つもダメ。ならこれはどうだ。」
充分に距離を取れた大和さんはもう一度刀を鞘に収めると、鈍器と化した己の武器をかまえる。
「?????????!!!!」
やってくる姦姦蛇螺。
しかし大和さんの迎撃準備は整っている。
踏み込む足元に紅い電流みたいなものがバチバチと迸る。
「…!!」
次の瞬間、大口を開けて飛びかかる姦姦蛇螺の頬目掛け、大和さんは鈍器を渾身の力で叩きつけた。
「?????????!!!!」
効いている。
神霊に近いであろう彼女の身体に、きちんとダメージが届いている。
顔面はひび割れ、血が滴る。
そこで大和さんは確信した。
「蛇に関する化け物ならば、ここはヤマトタケルの専売特許だろう。
だが……。」
のたうつ蛇の化け物を見て、ただ表情1つ変えることなく呟く。
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