第六十五話 塔の空気その三
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「今のオフィスやないな」
「一九四〇年代、今の十星連合のな」
「その頃のオフィスやな」
「そうやったな」
「設備がな」
これがというのだ。
「パソコンとかやなくて」
「タイプライターやった」
「机や椅子もや」
「そんなものでな」
そうなっていてというのだ。
「それでや」
「並んでて部屋が幾つもあって」
「廊下もあってな」
「ダンジョンになってたな」
「空気は普通やったが」
今話しているそれはというのだ。
「しかしな」
「あれはあれで趣向が感じられるな」
「迷宮やった」
「ほんまな」
「何ていうかな」
羅は苦笑いで言った。
「あらゆる場所が迷宮になるんやな」
「そやな」
シェリルも否定しなかった。
「オフィスでもな」
「そうなるな」
「そういうことや」
「それで高地もなって」
「そうした場所やと空気はな」
これはというのだ。
「薄くなってな」
「そのことも問題になるな」
「ただ水中を進むよりはな」
そうした階をというのだ。
「まだな」
「空気はましやな」
「水中はな」
これには海中の階も含まれている。
「またな」
「別やな」
「空気がな」
そもそもというのだ。
「ないさかいな」
「そうなるな」
「そやから水中を進む道具がないと」
さもないと、というのだ。
「中は進めんわ」
「そのこともあってやな」
「道具屋があるわ」
「そやな、薬とかも買って」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「そうした階も進める様に」
「ちゃんとこの塔には道具屋があるな」
「そういうことや」
「やっぱりこの塔は試練の場で」
「苦しめて潰すことが目的やない」
「人に試練を与えて踏破させて」
「力を授ける場やな」
このことを再認識したのだった、そしてだった。
その階を踏破すると筏に乗って激しい水流の中を進んでいった、施は如意棒で左右から出て来る獰猛な魚達を倒しつつ言った。
「若し落ちたらな」
「安心して、助けてあげるわ」
アレンカールは魚達を拳で倒しつつ応えた。
「ちゃんとね」
「そうしてくれるか」
「術も使ってね」
「それにこれ位の流れやと落ちても大丈夫やろ」
こう言ってきたのは中里だった。
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