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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第132話『忠告』
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ち寄った後。ぶつくさとボヤきながら、伸太郎は教室へと戻っていた。
決して仲間外れにされたようで寂しいとかではないが、どうせならその場に居合わせたかった。話で聞くだけだとどうにも当事者である実感が湧かない。

とはいえ、要は周囲への警戒を怠るなという忠告である。スパイの可能性もあるなんて、魔術連盟は余程慎重を期しているらしい。心当たりがない訳ではないが──


「……が……なんて、……たね」


推理をしていると、何やら話し声のような音が耳に入った。

声の主は……目の前の階段の踊り場だろうか。ここは人通りのない所だし、秘密の話でもしているのだろうか。それならあまり関わらない方が身のためだが、


「……は……より……かも」

「あれは……天野か? 誰と喋ってんだ……?」


スルーしようと思っていたが、通り過ぎる時に横目でちらりと確認するとそこにいたのは刻だった。誰かに話しかけているようだが、伸太郎からは死角になっているので対面に誰がいるかは見えない。

関わらないに越したことはないが、それが刻であれば話は別だ。皆には悪いが、伸太郎がスパイの可能性で真っ先に思い浮かべたのが転校生である刻なのだから。

ここからじゃ誰と何を話しているのかわからない。彼女の正体を探るためにも、バレないようにもう少し近づいて──


「あ、伸くんお疲れ様です〜」

「うぉっ!? き、気づいてたのか」

「さっきからチラチラ見てましたよね? 気づいてますよ〜」


ぐりんと首を動かして、笑顔で伸太郎に挨拶する刻。まさかこんなすぐに気づかれるとは思わず、思わず変な声を出してしまった。
見つかってしまったのならしょうがない。正面から探りを入れよう。


「な、何やってんだ? こんな所で」

「もしかして聞かれてました? いや〜お恥ずかしい。うち、マジシャンという職業柄、独り言が癖になってしまってまして〜へへ」

「その割には会話みたいに聴こえたんだが?」

「そりゃ観客と会話しないとショーは成り立ちませんからね。空想の観客を相手に何度もマジックを練習したりしてますよ。……別に友達がいないとかじゃないですからね!?」


てっきり誰かと話していると思っていたので、その対面に誰もいないのは驚きだった。
しかし、その場にいない誰かと会話してたのなら「電話をしていた」とでも言い訳することもできただろう。それなのに「独り言」だという理由を使うのはなぜだろうか。熱心にマジックに取り込む彼女のことだから、本当か嘘かは正直判別できない。愚直さを考慮すれば本当寄りか。


「どうせ俺よりは友達多いだろ。聞き耳立てて悪かったな。虚空に話しかける変な奴かと思っちまった」

「確かにそうですけど〜。練習して
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