第132話『忠告』
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晴登は彼を屋上まで連れてきた。今日は既に一度、狐太郎についての大事な話をしに屋上に来たが、まさか二度目があるとは。
ちなみにここには晴登とアーサーの2人しかいない。本当は魔術部のメンバーであれば同席しても良いのだが、刻の扱いをどうするか迷った結果、結月と共に置いていくことにした。同席させたところで話がわからないだろうし、文化祭を楽しんでいるところに水を差す理由がない。こういった役割は率先して部長である晴登が引き受けるべきだろう。
「アーサーさん、さっきは誤魔化してくれてありがとうございました」
「構わないよ。それに演劇をやっていることは事実だからね」
「え、そうなんですか?」
先程、刻の鋭い質問にアーサーは機転の利いた回答をしたが、どうやらそれは嘘という訳ではなく、本当に俳優業をやっているらしい。俳優兼魔術師だなんて、なんかカッコよくて憧れるな。
「その話についてはまた今度。今回は君たち日城中魔術部に関わる大事な話があるんだ」
アーサーは再び晴登に向き直り、「大事な話」だと前置きをした。
「まず、時間が経ってしまったが……魔導祭最終日、スサノオが襲来して君たちを危険に巻き込んでしまったことについて。これは完全に僕たち魔術連盟の失態だ。本当に申し訳ない」
「そんな、アーサーさんが謝る必要なんて……!」
「いや、これは大人の責任なんだよ。しかし、君たち【日城中魔術部】や【花鳥風月】といった、子供たちの勇気ある行動のおかげで奴らを退けることができた。心から感謝する」
まさかアーサーから頭を下げられるとは思わず、慌てて顔を上げさせる。
あの襲撃は事故のようなものだ。誰にも予測できなかったし、防ぎようもない。晴登たちはその状況下で最善だと思う行動を取ったまでだ。謝罪も礼も必要ない。
「では本題だ。魔導祭襲撃後、負傷したスサノオのメンバーが数名あの場に取り残された。よって彼らに尋問を行うことで、ある程度スサノオについて知ることができたんだ。彼らは特に訓練を受けた訳でもない、雨男に従っていただけのただの一般人だったし、割と簡単に吐いてくれたんだが、その内容には共通点があった」
「共通点?」
「言い分は様々だったが、共通するのは『スサノオの目的は夢を叶えるため』だということだ」
「夢を叶える……」
大事な話というのはやはりスサノオ絡みの話だったか。
雨男が言っていた、新魔術師云々の話が目的だと思っていたが、どうやら本当の目的が他にもあったらしい。
漠然としているが、もし本当に願いが叶うのであれば従う理由としては十分魅力的である。
「でもどうやってですか?」
「古来より、願いを叶える手段といえば神様に願うことだ。つまり奴らは神様
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