§72 これだから陽の者は……
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日常に戻ってきた気がしますねぇ」
呆れたエリカに同調するかのように。ベッド脇の籠の中で、迷惑そうな顔のキツネが毛づくろいをしていた。
「で、重要な話って?」
お茶を飲んで一息ついて。真面目な顔をした三人と向き合う。
「天之逆鉾って知ってるか?」
「ゲームで出てくるやつ……じゃないよね。聞いたことあったかなぁ……」
アニメやマンガならいざ知らず。日常で聞くことなどまずない単語だ。聞いたとすれば、幽世にいた時。
「んー……ごめんわかんない」
「……いや、大丈夫だ」
苦い顔をする護堂と「まぁ知ってたら貴方が持ってる筈だものね」なんて諦め顔をするエリカ達。こちらとしてはさっぱりだ。
「何かあったの?」
聞きたくないが聞いておかないと不味いことになりそうな、そんな予感。
「天之逆鉾っていうヤバい呪具がアレクに奪われた」
とびきり深刻そうな表情で護堂が事態を教えてくれる。
「……それってヤバいんじゃないの?」
「あぁ。滅茶苦茶ヤバい」
「なんてこった、ヤバいのか……」
「……あなた達、その会話聞いてるこっちも馬鹿になりそうだから辞めてくれない?」
「「ごめんなさい」」
流石にふざけすぎた。周りの視線が痛い。しかし適当に言ったのに瞬時に理解してノってくる辺りやっぱりコミュ力高いなこいつ、などと思っていたらそれがバレたのかエリカの視線が冷え冷えだ。気を取り直して天之逆鉾の騒動について改めて聞く。だがしかし、須佐之男命から聞いた記憶はやっぱり無い。
「でもおかしくないか? 天之逆鉾を護れという指令が古老の方々から来てるなら、黎斗が何故知らない?」
実は黙っているだけなのでは?と懐疑的な目を向けてくるリリアナ。
「いやそう言われても……知らんもんは知らんとしか……」
「黎斗は腹芸が出来るタイプではないわリリィ、おそらく真実よ」
溜息をつくエリカ。なんだか申し訳ございません。
「褒められてるんだか貶されてるんだかわからねぇ……」
「黎斗さんが囮なのではないでしょうか。天之逆鉾を保護しておくなら、一番安全なのはおそらく黎斗さんです。奪おうとする相手もそれは恐らく織り込み済みの筈」
「その可能性が高いでしょうね。普通は黎斗が持っていると判断するわ。だから、逆に黎斗に持たせないことで奪われる可能性を減らし、奪いにくる敵を返り討ちにする。そんな所かしらね」
「なるほど。一理ある」
祐理の発言をエリカが補強し、リリアナが納得する。
「なんだか知らんが許された……のかな? でも盗んだ本人が分かっているなら返してもらえばいいのでは?」
至極当然の疑問を述べた筈なのに、返
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