40:届かなかった手
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翌日の早朝。
ボクはレイドパーティのリーダーからのメッセージによる呼び出しによって起こされた。
「…………うぅ〜……まだ、こんな時間なのに……これから、もうクエスト出発だって……?」
未だに重くて眠い目を擦る。
いつものクエスト開始時間を、4時間も前倒しにしている。
それも朝日が少しだけ覗く、まだ微かに暗さの残るほどの朝。プレイヤーどころか、村のNPCすらまだ起きていない時間帯である。
「みんな……昨日の事があったから、張り切ってんのかなぁ……」
その気持ちも分かる。
恐らくは、クエストついでに我も続いて気心を許してくれるモンスターに出会いビーストテイマーに、と意気込んでいるのだろう。
ただでさえモンスターのテイミングは気が遠くなるほどに低確率のレアイベントと聞く。ボクもまさか……こんな嬉しい結果が待ってくれているとは全く思っていなかった。
チラリと横を見れば、ボクの隣で眠っていたルビーも、もぞもぞと横たえた体を起こしてシーツに浅い蹄の跡を残しながらベットから這い出て、ふるる、と首の鬣と尻尾を揺らした。
「村長さん、起きてればいいんだけど……ふわぁぁああ……」
ボクは大きなあくびをしながら、木のフローリングに足を降ろし、着替えるべく装備ウィンドウを操作し始めたのだった。
◆
「……うわっ、もしかしてもう全員集まってる!?」
毎朝通例のパーティの集合場所である村の門前には、すでに恐らくボクとルビー以外のメンバーが揃っていた。
さして広くない村をきょろきょろと見渡すが、目の前の一団とボクら以外にはプレイヤーは居ない。
よって決定、ボクがドベである。
「み、みんな……張り切りすぎだよー……」
ボクはため息を一つ吐いて、その一団に混じるべく駆け足で門前へと向かう。
すると……ボクの接近に気づいた彼らは、一斉にボクらに振り返り……
「…………っ!?」
その……異様な威圧感に、つい駆けさせていた足を止めてしまった。
なに……その目は……?
彼らは一言も言葉を介さなければ、その顔には、何も読めぬ表情だけが張り付いている。
ボクらに届けられたのは、プレッシャーにも似た……正直、不快な視線だった。
「ど、どうしたの、みんな……?」
ボクはどうしても恐る恐るになってしまう歩調で彼らに近づく。ルビーはボクの背から離れようとしない。
「あのね、みんな……ボクが偶然ビーストテイマーになれたからってさ、なにもそんなに張り切らなくても――――」
その時だった。
突如、パーティの全員が一斉に動き出した。
まるで事前に打ち合わせしていたかのような機械的な動きで……ボクとルビーの周囲を
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