40:届かなかった手
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『――〜〜ッ!! 〜〜っ!!』
という、ルビーの声無き悲鳴が聞こえる。
「待って!! ルビーをどこに連れてくつもりなんだよっ!?」
その叫びの問いに、誰も吐息一つ答えない。彼らは黙々とルビーを抑えつけるか、突っ立っているだけだった。
この場で声を荒げているのは、ボクだけだった。
彼らはユニコーンを……すぐ目の前の、門の外へと運び出そうとしているようだった。
ユニコーンを担ぐ集団に続き、ボクの視界の左右からも、ゾロゾロとプレイヤー達がその集団に合流すべく歩き出している。
気づけば、ボクを閉じ込めるプレイヤーはたった数人、必要最低限の人数になっていた。それ以外の全てのプレイヤーが門の外で、ルビーを中心におびだたしいまでに集まっていた。
「ルビーッ!! 逃げてっ!!」
ボクは叫ぶ。
「ボクのことは気にしなくていいからっ、どこでもいいから、ずっと上の層に今すぐにワープして逃げてっ!!」
ボクの声が届いたのか、プレイヤーの集団の中央から、仄かに青い光が集まり始めた。
しかし。
その声が合図だったかのように。
……プレイヤー達が全員、一斉に音を立てて武器を抜いた。
――先程以上の悪い予感が頭を貫いた。
「やめてっ……やめてよっ!!」
しかし、その嘆願は叶わなかった。まるで聞こえていないかのように、さも当然そうに。
筋力値の全てにものを言わせて肉の壁を押しても体当たりをしても、体は一歩も前に進まなかった。
ボクを閉じ込める人数が減ったところで、システム的保護を受けている彼らの強度は何も変わらないのだ。
「このっ!! このぉっ……!!」
あと、あともう少しで手が届くのに……!!
目の前に、ルビーが助けを求めているのに……!!
これから……これからボク達の物語が、はじまるというところなのにっ……!!
「そこをどけっ、どけよっ!! どけぇぇぇぇええっ!!!!」
今までの人生でかつて無いほどの叫びをあげて、伸ばしきって震える手を、それでも力の限りに伸ばす。
「ルビー……!!」
あと、少しっ……!!
「ルビーッ……!! ルビーッ!!!! ル――――――」
が。
事は一瞬だった。
ボクは見た。
数重もの武器が一斉に振り下ろされるのを。
その小さな、純白の体が、一瞬で、突き立てられた武器の束で……貫かれるのを。
その穢れない体の殆どが、武器の重苦しい色でズタズタに塗り潰され……次の瞬間、悲鳴も無くポリゴンに散ったのを。
ボクは聞いた。
バァン、という、ルビーの体の破砕音
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