刃の始まり
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さな声で自分の信念を告げる。
「今こそ疾走して駆け抜けよう」
自身に刻み込んだ言葉を敢えて口に出す事で誓いとした。
「おお……」
表示枠を見つめている学生達が驚嘆に声を上げた。
「俺達の副長が……」
今まで無能を装っていた副長が、その隠していた力を遠慮なく振り絞って戦っている。
特務クラスの反応も様々だった。
遅いのよと告げる魔女がいた。
長い間待ち続けていました……と呟く騎士がいた。
ようやくで御座るかと溜息を吐く忍者がいた。
誰もが、副長の戦っている姿に期待をしていた。
故に皆が思った。
「戦える」
「そうだ。俺達は戦えるさ」
何せ無能であった副長があんな風に戦えるのだ。
ならば、自分達みたいに訓練を受けている人間が戦えないはずがない。
それは隠れて訓練していたから戦えた? ならばこそ、隠さずに訓練していた自分達が戦えないなんて言う道理はないではないか。
故に誰もが隠れていた英雄に向かって叫んだ。
「勝て……!」
瞬間、両者は悟った。
次が最後の攻防であると。
既に、攻撃回数はお互い三桁をとうの昔にこえている。
だが、同じ三桁でも、その差は歴然であった。
加速術式を使っているから、仕方がないとはいえ立花・宗茂は速過ぎたと誰もが言うだろう。
現に、厳密な攻撃回数を言うならば、熱田・シュウは百二十近い斬撃に対して、立花・宗茂は四百近い斬撃を繰り出している。
熱田は連続攻撃という攻撃だけならば、宗茂に遥かに劣っていた。
しかし、それだけで熱田が負けているというわけではなかった。
連続という分野では確かに負けてはいるが、攻撃という分野では遥かに宗茂を圧倒していた。
近距離では重過ぎる斬撃を出し、中距離になると飛ぶ斬撃を連続で放つ。時には謎の消える技を使って、奇襲をする。
何もかもを使っての勝負であった。
故にお互い隠してはいるが、口で息をするレベルまで疲れている。
まだ続けられるかと問われたら二人とも応と答えていただろうが、続けられると勝てるかでは違うと二人とも当然のごとく悟っていた。
故に余力が残っている今。
それがこの勝負を決する時だと、二人とも合図も無しにお互い理解しあっていた。
宗茂の前で熱田の斬撃が疾る。
だが、その斬撃は遠い。
少なくとも、加速術式使いの宗茂の前では五メートルは近くて、躱す距離としたら充分であった。
しかし、疾った方向は自分ではなく
「むっ……!」
傍に立つ木々であった。
当然、ただの木など熱田の斬撃に耐えられるはずがなく、そのままばっさり斬られる。
それも斬撃は質の悪い事に飛んでしまうので、結果として
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