刃の始まり
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ル先に着地しようとしている。
なら、この距離ならば、加速術式を使えばあっという間だ。
だから行った。
自分の蹴った足の力にも比例して、加速は伸びる。
だが、その加速が入りきる前に、相手が着地した瞬間に───相手の姿が消えた。
「───」
驚愕は今まで作り上げてきた鋼の精神で押し止める。
表示枠を通して見てはいたが、体験して理解できた。これは、体験しなければ、理解できないものである。
恐らく、ガリレオ副長も同じことを思ったのだろう。
見えているのに見えない。
視界には映っているのだ。視界の右端に映ってはいる。だが、それを捉えられない。
否、知覚できない。
故にどう対処するべきなのかが解らない。前に入ると見えているのに、知覚出来ていないので前にはいないと思わされるのだ。
これを回避するには、この技を解明しなければ避けれないと宗茂は直感で理解したが、それを理解する暇がない。
故に彼は違うものを信じた。
「結べ───悲嘆の怠惰」
悲嘆の怠惰の通常駆動。
能力は蜻蛉切りとまったく同じ。刃に映す名を介した対象の割断。その能力を使用するために前方の空間を刃に映した。
前方を映したのは、勘でありそして理解であった。
そう、目の前の少年との会話で理解した事だ。
彼は正面突破を選ぶ人間です……!
勝つために卑怯な手段を容認する人ではあるが、彼は単純に前から突っ込むような人物だと思うという勝手な一方通行の理解。
だからこその勘である。
効果は実証された。
甲高い音と共に、何かにぶつかるような音がした。
決まった、と内心で思った。ならば、即座に応急処置をしないといけないだろう。蜻蛉切りも悲嘆の怠惰も、そこら辺をセーブするようなものはない。
だが、直ぐに治療すれば生き残れるだろうし、それくらいの時間はあると思う。相手の剣について、まだまだ知りたかったが、こんなものだろうと思い、前を見ると
「あったぁ……結構イテェ……」
倒れてはいるがコキコキと肩を鳴らせて余裕そうな態度をしている剣神がいた。
「……まさか結果が嘘を吐くとは」
自分でも意味が解らない言葉を吐きながら彼を見る。
見たところ、傷とかがないのはよく解る。そして彼の周りを見ると地面の砂が抉られている。
……成程。
どうやら、咄嗟の判断で地面の砂を斬る事によって、砂の壁を作る事により、こちらの割断能力を弱めたという事か。
だが、それなら傷がついていないのはおかしい。
幾ら、名の隠す努力をしても、それが岩とかの壁ならばともかく砂ならば全部を隠せるわけではないだろう。
減衰はしても、力は発揮されるはずだ。
その疑問を察したのか、彼は平気そうに起き上って、こちらを見る。
「ああ……まぁ、卑怯なのは承知なんだけ
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