刃の始まり
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ったかな様な表情で頭を暫く掻いていた。
だけど、直ぐに彼はにっこり笑顔になった。
その事に、宗茂は理解してくれたのかと内心で笑みを得ようとしていた。
しかし、もしもこの場に梅組メンバーが一人でもいたら、間違いなく、宗茂に逃げろと面白おかしく伝えていたかもしれない。
この剣神が、こんなにっこり笑顔を浮かべる事なぞ、間違いなく裏がある場合か、余程の感動シーンでしかないのだから。
「まぁ、とりあえず……」
にっこり笑顔はそのまま。故に宗茂は一瞬、反応に遅れた。
「その馬鹿な事を言っている首から上を落としていけや」
何の躊躇いもなく、右肩に担いでいた大剣らしきものを宣言通りに首を狙って放たれた。
体が驚きで硬直する前に体に染みついている体術が体を勝手に動かす。
膝から無理矢理力を抜くことで、首への斬撃を躱す。
すると、ほんの少し時間がたつと背後から巨大なものが倒れていくような音が連続して聞こえたきた。
この状況で背後を確認するなどと言う愚行をする気にはなれないが、自分の耳に異常がなかったのならば、凡そ、四十メートル先くらいまで斬撃が疾ったような音が聞こえた。
計ってもいないので正確な距離ではないが、少なくとも三十メートルは超えていると直感が判断を下している。
その事に、表面上は戦闘の真面目な顔を作りながら、内面で汗をかく。
「……どういうつもりですか?」
「逆に言わせてもらうぜ───馬鹿じゃねえのか」
挑発だと心の中で思い、精神を冷めず、熱過ぎずというテンションに上げていく。
とりあえず、続きを促す。
「世界を敵に回す? 昨日まであった日常は戻らない? まったくもってその通りだろうな。昨日まであった日常は失われた、故に戻らない。そこらの阿呆でも解る理屈だな───百も承知の事実だぜ」
そう言って彼は完全にさっきまでのにっこり笑顔を捨てて、呆れ果てた顔をこっちに向けてきた。
「武蔵の全員がその事を理解している……なんて綺麗事は言わねーよ。これから降りる人間もいるだろうし、何でこんな馬鹿達に付いているんだと疑問を抱く人間もいるだろうよ。それでも俺達、極東人は目の前に生を諦めようとしている人間をそのままにしておくようなお人好しな人間ではないんだぜ」
そうだとも。
「諦めようとしている人間はケツ叩いても、無理矢理生かそうとするのが俺達だ。まぁ、俺は馬鹿どもと違って、そこまでお人好しではないから、それでも諦めたままなら、じゃあ、自殺しとけっていう人間だがな。だから、てめぇのその偽善な言葉を聞いても、今更だし、止める気は毛頭ねぇ。諦めな」
「馬鹿な……気持ちは解りますが、それで貴方は武蔵を戦乱の渦に巻き込むつもりですか!?」
「面倒なんで、説得する気はないんだが、敢えて言うな
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